文科省、高校団体の要望書受理せず 大学入試繰り下げ

2020/6/16 18:53 (2020/6/16 21:49更新)
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全国高等学校長協会(全高長)は16日、2021年度の入学者を選抜する大学入試の日程を1カ月程度繰り下げるよう文部科学省に要請した。同省担当者は「高校の総意でない」として要望書を受け取らなかった。大学側も日程変更に消極的な姿勢を崩していない。

文科省は17日、大学や高校関係者らを集め、大学入試日程などを巡る2回目の協議を開く。同省は入試全体の指針の「大学入学者選抜実施要項」を6月中にもまとめる方針だが、高校と大学の意見の隔たりは大きい。

全高長は、新型コロナウイルスの影響で休校が長期化した地域の学習の遅れに配慮する必要があるとの認識で一致。大学入学共通テスト(20年度までは大学入試センター試験)など全ての選抜日程を1カ月程度遅らせるべきだとする要望書をまとめた。

全高長によると、要望書のとりまとめに日本私立中学高等学校連合会など私立校の団体が含まれないことから、文科省担当者は16日「高校の総意として出し直してほしい」などとして要望書を受け取らなかったという。

要望書を受け取らなかった背景には、同省が全高長を通じて6月2~9日に実施したアンケート調査の結果を巡る混乱もあるとみられる。

調査には全国約4300校の国公私立高校長が回答した。大学入試日程について、予定通りの実施を求める回答が約7割、2週間~1カ月程度の延期を求める回答は約3割にとどまった。

文科省の1日時点での調査では、全面再開している高校の割合は25県で100%、5道県で75%以上だった。5月の大型連休明けから徐々に学校を再開し、5月中に通常の時間割をこなしている自治体が多く、そうした状況がアンケート調査の結果に反映された。

文科省は11日、大学入試日程などを巡る2回目の協議を開催。アンケート調査の結果を公表し、共通テストなどは予定通りの日程で実施する調整に入った。

ただ、全高長は文科省の調査期間中の6日、全国代表者とオンライン協議を開催。首都圏の校長が「数学3と物理はまだ授業が始まっていない」と報告すると、他地域から驚きの声が上がった。既に調査に「予定通り実施すべきだ」と回答した校長から「それなら地域差に配慮すべきだ」との意見表明が相次いだ。

13日にも同様のオンライン協議を開催。「地域差に驚いた先生が多い。3割の意見を反映すべきでは」(栃木)「状況が厳しいところに寄り添うのが望ましい」(兵庫)など、学校再開が遅れている地域に配慮すべきだとの意見が大勢を占めた。調査の結果とは異なるが、全高長は大学入試日程の繰り下げを求める方針をまとめた。

これに対し、大学側は入試日程の繰り下げには消極的だ。国立大学協会は15日の会合で「後ろにずらすべきではない」との見解で一致した。「(全高長の見解が)二転三転しており、本当に現場の意見を把握しているのかと危惧している」(永田恭介会長)との批判も出た。私大からも試験会場の確保など事務負担が増える懸念が上がる。

萩生田光一文科相は16日の閣議後の記者会見で、大学側に対し「今年に限っては少し無理してでも対応してもらわないといけない」と要望。「仮に予定通りの日程になったとしても、共通テストや各大学の個別入試で受験生の抱える様々な状況に柔軟に対応できるようにしたい」と述べた。

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