海外直接投資40%減へ、20年 国連予測

2020/6/16 14:00
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アジアには自動車の関連工場が多く立地している(ベトナム)=ロイター

アジアには自動車の関連工場が多く立地している(ベトナム)=ロイター

【ジュネーブ=細川倫太郎】国連貿易開発会議(UNCTAD)は16日、2020年の世界各国への海外直接投資が9240億ドル(99兆円)と、前年比で最大40%減るとの予測を発表した。新型コロナウイルスによる経営環境の悪化で、M&A(合併・買収)などにブレーキがかかっている。

1兆ドルを下回るのは、05年以来15年ぶりで、リーマン・ショック後の09年の減少率(17%減)も大きく上回る。21年についてはさらに5~10%減少し、22年にようやく回復に転じると予想する。

世界の海外直接投資をけん引する多国籍企業5000社では、20年の利益の見通しを平均40%下方修正した。世界的な需要の減少やサプライチェーン(供給網)の混乱が響く。業種別では特に宿泊・飲食、運輸、自動車などの打撃が大きい。

企業業績の悪化で、国境を越えたM&Aは減っている。米ボーイングは4月下旬、ブラジル旅客機大手エンブラエルとの事業統合を撤回した。高級ブランド世界最大手、仏LVMHモエヘネシー・ルイヴィトンによる米宝飾品大手ティファニーの買収も暗雲が垂れこめている。海外工場の建設計画を見送る企業も少なくない。現地法人の設立などで工場や販路を一からつくる「グリーンフィールド投資」も後退している。

アジアやアフリカ、中南米の途上国への海外直接投資が最大45%減と先進国(同40%減)より影響が大きくなる。途上国では製品の生産や組み立て工程が複数の国にまたがっているケースが多い。原油や銅など資源価格の低迷にも見舞われている。UNCTADは「途上国は投資への依存度が大きく、今回の危機で一段と経済が脆弱になっている」と警鐘を鳴らす。

一方、一部の先進国では国境の開放など経済活動は再開し始めたが、新型コロナの流行の「第2波」を懸念する声は多い。キトゥイ事務局長は海外直接投資の見通しについて、「新型コロナの流行の期間と経済的影響を緩和する政策効果に左右され、非常に不確実だ」と指摘する。米中貿易摩擦や、英国の欧州連合(EU)離脱などの逆風も消えていない。

世界銀行は楽観シナリオでも、20年の世界経済の成長率がマイナス5.2%に落ち込むと予測し、戦後最悪の景気後退に陥る見通し。当面は設備投資などに慎重になる企業は多いとみられ、世界経済の下押しリスクになりそうだ。

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