高校生の就活 資格試験中止で「見通し立てづらく」

生活
2020/6/16 11:40
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資格試験中止のあおりを受け、工業高校の生徒たちは不安を口にする(とびの実習授業をする都立墨田工業高校)

資格試験中止のあおりを受け、工業高校の生徒たちは不安を口にする(とびの実習授業をする都立墨田工業高校)

新型コロナウイルスの影響で資格試験の中止が相次ぎ、商業高校や工業高校に困惑が広がっている。就職のために資格取得を目指す生徒が多く、中止は進路計画などに影響が及ぶ。面接などの就職活動は例年より1カ月遅い10月に始まるが、資格を得られなければ進路の再検討も迫られる。

「検定が中止になって見通しが立てづらくなった」。都立芝商業高校(東京・港)に通う3年生の藤原梨紗さんは不安を口にする。

2年生の時から事務職への就職を希望し、6月14日の簿記検定2級の合格を目指して勉強してきた。だが新型コロナウイルスの影響で主催する日本商工会議所は簿記検定1~3級の試験を中止。就職活動の履歴書の資格欄に「簿記2級」と書き込むつもりだったが、かなわなくなった。気持ちを切り替え、7月のビジネス文書実務検定に向けて勉強を始めたが「合格できるか不安」と話す。

高校生の就職活動は、毎年7月1日に求人票が公開され、9月中旬から採用選考が行われてきたが、今年は新型コロナの影響を受け、国は開始時期の1カ月延期を決めた。2020年3月卒の高卒求人倍率は約2.85倍と9年連続で上昇するなど売り手市場が続いてきたが、厚生労働省の担当者は「今年は新型コロナの影響で新規採用を絞り込む企業が出てくる可能性がある」と予想する。

新型コロナの採用への影響が懸念されるなか、就活に臨む高校生にとって、資格取得は企業への有力なアピール材料だ。だが今年度は簿記だけでなく、秘書検定など高校生が就職のために受ける資格試験の多くが中止に追い込まれている。

厚労省は機械加工や建築大工などの各技能検定のうち6~9月に予定していた57種類の試験を中止すると発表。工業高校の生徒も試験中止のあおりを受けている。

7月に予定されていたとびの技能検定が中止にになり、都立墨田工業高校(東京・江東)の3年生の男子生徒は「行きたい会社への条件を満たせるのか不安」とこぼす。

同校では建築科の生徒の半数が毎年、同検定を受けるといい、就職に向けて習得しておきたい技能の一つだ。試験の中止で受験できなくなった生徒たちから「進路相談をしたい」といった声が寄せられるようになったといい、同校の杉浦文俊校長は「企業側は検定試験を受ける生徒の前向きな姿勢もみている。試験がなければ、その姿勢も伝わらない」と困惑する。

中高生のキャリア支援などを手がけるスクール・トゥ・ワーク(東京・千代田)の古屋星斗代表理事は「企業側も資格の有無で就活生のスキルが分かるため、資格試験の中止や延期は採用活動に影響が出かねない」と指摘。「相談体制の充実など、就活生をサポートする取り組みが必要だ」と話している。

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