対アマゾンで新旧タッグ ウォルマートとショッピファイ

2020/6/16 10:59
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【ニューヨーク=中山修志】米ウォルマートとカナダの電子商取引(EC)サービス業者ショッピファイが15日に業務提携を発表した。小売業の巨人と「アマゾン・キラー」として注目される新興勢力のタッグは、米アマゾン・ドット・コムが独り勝ちを続けるネット通販市場を大きく変える可能性がある。

■手数料かからない手軽さ人気

ショッピファイは2004年創業の新興企業で、通販サイトの作成や配送・決済の支援を手掛ける。サービスは月額29ドル(約3100円)から3段階の定額制で、アマゾンなどと異なり販売手数料がかからない手軽さから中小企業の人気を集め、175カ国で100万社以上が利用する。

ウォルマートは新たなアマゾン対抗策を見いだせるか(米アーカンソー州の店舗)

ウォルマートは新たなアマゾン対抗策を見いだせるか(米アーカンソー州の店舗)

今回の提携により、ショッピファイの登録業者はウォルマートの通販サイト「ウォルマート・ドット・コム」に出品できるようになる。出品費用はかからず、売れた分だけウォルマートに手数料を支払う。

ショッピファイは月間1億2000万人が閲覧するウォルマートの通販サイトの集客力を利用できる。ウォルマートはショッピファイの多彩な通販業者を取り込んで品ぞろえを充実できる。ウォルマートは年内に1200社を自社サイトにつなぐ計画だ。

ウォルマートはここ数年、アマゾンに対抗するためネット通販の分野でM&A(合併・買収)を加速してきた。16年に米ジェット・ドット・コムを33億ドルで買収したのを皮切りに、若者向けアパレルやアウトドア用品の通販事業を相次ぎ買収。18年にはインドの最大手フリップカートを傘下に収めた。

■順調ではなかった買収戦略

買収戦略は順調だったわけではない。自社サービスや店舗との相乗効果が限られ、20年5月にはジェット・ドット・コムのサービスを廃止を決めた。ショッピファイとの業務提携にとどめるのはウォルマートにとって新たな取り組みで、投資リスクを負わずに品ぞろえを広げ、ノウハウの吸収を狙う。ショッピファイは19年12月期の売上高が約15億ドルとウォルマートの300分の1以下だが、時価総額は800億ドル超と3割近くまで膨らんでいる。

カナダ・ナショナルバンクのアナリスト、リチャード・ツェー氏は「ウォルマートの集客力は大きく、ショッピファイ側の利点も大きい」と指摘する。15日の米株式市場でショッピファイの株価は前日比8%上昇した。

新型コロナウイルスの影響で在宅消費の習慣が定着し、ネット通販市場はさらなる成長が期待される。両社の提携が通販サイトの場所貸しにとどまるなら効果は限定的だ。在庫管理や物流など通販の心臓部にも踏み込めば、アマゾン1強の構図を崩す強力な組み合わせになりそうだ。

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