関西電力、前社長ら5人提訴へ 金品受領問題で19億円

2020/6/15 19:14 (2020/6/15 22:15更新)
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関電は金品受領問題を受け、岩根前社長(右)や八木前会長らに損害賠償請求を起こすと発表した(2019年10月の記者会見、大阪市)

関電は金品受領問題を受け、岩根前社長(右)や八木前会長らに損害賠償請求を起こすと発表した(2019年10月の記者会見、大阪市)

関西電力は15日、役員らによる金品受領問題で善管注意義務違反があったとして、岩根茂樹前社長ら旧経営陣5人に計約19億円の損害賠償を求める訴訟を起こすと発表した。関電の「内向き体質」や原子力発電所を巡るマネーの不透明さを浮き彫りにした不祥事は、旧経営陣の責任が法廷で追及される段階へ移る。

同日の臨時監査役会で決めた。ほかに八木誠前会長、森詳介前相談役、豊松秀己元副社長、白井良平元常務を提訴する。

提訴の発表に先立ち、関電の監査役会が設けた取締役責任調査委員会(委員長=才口千晴弁護士)は8日に報告書を公表。福井県高浜町の元助役(死去)らからの金品受領などに絡み5人が「対応義務を尽くさなかった」などと指摘し、入札指名停止処分や信用失墜により関電に約13億円の損害を与えたとした。

監査役会は報告書を踏まえ、11億円あまりの損害について責任を問えると判断した。弁護士による調査費用など約8億円を加え、19億円を求める。八木氏と岩根氏が問題の公表を見送った点にも責任を指摘し、報告書より踏み込んだ。

一連の問題では金品受領者が75人、総額は約3億6000万円相当に上った。監査役会は株主から提訴請求を受け、新旧経営陣の法的責任の有無を調べるため社外の弁護士4人で構成する調査委を設置した。

一方、関電は15日の臨時取締役会で、株主から提訴請求を受けた現旧監査役7人については提訴しないと決めた。監査役が問題を取締役会に報告しなかったことを善管注意義務違反としたが、仮に裁判をしても回収金額が訴訟費用を下回る可能性があるためという。

一連の問題では経営を監視する体制が十分に機能しなかったと指摘された。関電はコーポレートガバナンスコード(企業統治指針)の適用が始まった2015年に「人事・報酬等諮問委員会」を設置。委員の半数超を社外取締役とした。だが第三者委員会によると、東日本大震災後に減額した役員報酬を旧経営陣が補填することを決めた際、諮問委に諮らなかった。

金品受領問題では国税局の調査の後、弁護士らでつくる社内調査委員会が18年に調査報告書をまとめたが、当時の経営トップら3人の判断で公表を見送った。情報漏れを恐れ、取締役会にも報告しなかった。監査役会は社内で問題が明らかになった後の当時の経営陣の対応を「おおむね妥当」とし、取締役会に報告しなかった。経営をチェックする体制はあったが、問題が放置された。

企業統治が専門の関西大学大学院の松本祥尚教授は「監査機能に関しては補佐する実働スタッフをどれだけつけるかが重要だ。会社側はスタッフの人数や専門性を明らかにしてサポートの充実度合いを示す必要があるだろう」と指摘する。

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