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無観客の競馬場は寂しくない? 京都・阪神で探る

とことん調査隊

プロリーグの開幕延期や大会の中止など、新型コロナウイルスの感染拡大はスポーツ界にも大きな影響を与える。そうした状況下でも開催を続けているのが競馬だ。ほぼ予定通りの日程を消化するが、通常と異なるのが無観客であること。ファンのいない競馬場では、どのようにレースが行われているのか。関西圏にある中央競馬の京都(京都市伏見区)、阪神(兵庫県宝塚市)両競馬場を例に探った。

中央競馬が無観客となったのは2月29日から。場外発売所なども閉鎖され、馬券の発売は電話・インターネット投票経由のみとなった。

入場料や競技場内の物販など観客が入ることで得られる収益の割合が大きい他のスポーツと違い、日本の競馬は馬券の売り上げが経営の根幹。しかもネット経由の売り上げが多く、競馬は無観客開催に踏み切りやすかった。現段階では阪神で宝塚記念(G1)が行われる6月28日までの無観客がすでに決まっている。

関西圏では無観客初日は阪神で迎えた。スタンドの電気は一部を除いて消え、通常であればファンを出迎える際に使われる装飾物などが、暗いスタンド内に留め置かれるといった寂しい光景がみられた。この日の第1競走を勝った岩田康誠騎手は「引き揚げてくる時にスタンドを見ると暗かった。ファンのありがたみがわかる」と語った。

馬の気性は千差万別で無観客が馬に与える影響は測りかねるが、レースに関しては通常と同様の熱戦が繰り広げられている。レース前の馬がパドック(下見所)に姿を現し、何周かお披露目してからコースに入り、レースを迎えるという流れもいつも通りだ。

京都、阪神を問わず「ターフビジョン」と呼ばれる場内の大型画面や場内実況、パドックにあるオッズの表示板もほぼ通常通り運用されている。レース映像の放映などはファン向けのサービスとも思えるが、「関係者も映像を確認しながら競馬開催を進めているので、場内でもほぼ通常と変わりのない映像を放映している」と、日本中央競馬会(JRA)は説明する。

実際、レース後に騎手が「後続の位置をターフビジョンで確認した」といったコメントをすることは以前からある。パドックで担当馬を引きながらその馬の人気がどのくらいかをオッズ表示板で確認する厩務員も多い。

とはいえ、通常時の競馬場とは異なる点の方が目立つ。レース後の記念撮影や表彰式はない。馬主も競馬場への来場を自粛。馬主の観戦エリアはほぼ人影はみられない。メディアの取材にも人数制限がかかる。勝利騎手のインタビューも騎手と記者の間に仕切りが設けられ、十分な距離が保たれるようになった。

JRAが競馬開催日に動員する職員の数も減った。通常時、愛知から九州地区までの西日本は約400人の職員が業務にあたるが、現在は約140人。競馬場が無観客なことに加え、場外発売所も閉まったためだ。審判や獣医などの専門職を中心に東京の本部や栗東トレーニング・センター(滋賀県栗東市)などからの出張者も京都、阪神両競馬場で業務に就くが、できるだけ出張先が近場で済むようにしている。

職員の数が減っているとはいえ、落馬事故への対応など安全対策は通常通り。競馬場内には医師が常駐するほか、近隣の医療機関と連携し、緊急時は「円滑かつ迅速に搬送を受け入れてもらえるよう」(JRA)に体制を整える。コロナの感染拡大が医療機関に与える影響についても、随時状況を確認。「従来の救護体制を維持している」(同)

無観客による人員減がコスト削減につながるとの見方もある。だが、JRAによると、開催にかかる経費の多くは賞金や出走馬の輸送費、電算システムの稼働費などが占めるという。削減効果は限定的なようだ。(関根慶太郎)

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