中国・重慶市の公安局長を摘発、習氏の権力基盤固めか
【北京=多部田俊輔】中国共産党中央規律検査委員会と国家監察委員会は14日、重慶市の鄧恢林・副市長兼公安局長を重大な規律違反と法律違反の疑いで調査していると発表した。習近平(シー・ジンピン)国家主席は公安部門で自らと距離がある人物を一掃することで、権力基盤を固める狙いがあるとみられる。

鄧氏は1965年生まれ。湖北省でキャリアを積んだ。一時は習氏の後継候補と目された前重慶市トップ、孫政才・前同市党委書記が2017年7月に解任され、習氏側近の陳敏爾・同市党委書記が後任に就き、孫政才氏時代の幹部が一掃された後、公安局長や副市長などの要職に就いた。
鄧氏の失脚について、重慶市の関係者は「重慶に来てからの不正ではない」と指摘する。鄧氏は公安省次官だった孫力軍氏と近いとされており、孫力軍氏が4月に失脚したことに連座した可能性が高いとみられる。
公安部門では孫力軍氏だけでなく、18年に公安省次官を経て、国際刑事警察機構(ICPO)総裁を務めた孟宏偉氏を摘発した。孟氏は習氏が「反腐敗」運動で無期懲役に追い込んだ元最高指導部メンバー、周永康氏に近い人物で、鄧氏の摘発もその一環との見方も出ている。
重慶市では、一時は習氏のライバルと目された元同市トップの薄熙来氏が12年に失脚した。市政府の公安局長はトップと近いだけに、歴代の公安局長の多くが権力闘争のなかで失脚している。鄧氏の調査が今後、重慶市などでどう広がるかに注目が集まりそうだ。