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トランプ氏「人種越えて結束を」 米軍と関係修復探る

13日、陸軍士官学校の卒業式に出席したトランプ米大統領(ニューヨーク州)=ロイター

【ワシントン=中村亮】トランプ米大統領は13日、陸軍士官学校の卒業式で「皆さんは全ての違いを克服して真の結束を果たすという国民共通の目的をなし遂げた模範だ」と強調した。人種差別を巡る抗議デモへの政権の対応に米軍内でも批判が強まっていることに配慮し、関係修復を探ったようだ。

トランプ氏は祝辞で「みなさんは人種や宗教、肌の色、信仰がそれぞれ異なる」と指摘。「だがこの地に着いてから一つのチーム、家族に属し、誇りをもって米国という国家のために尽くした」とたたえた。人種や宗教の壁を越えて今後も結束すべきだとの考えを示し、党派や人種間の対立をあおりかねない従来の強硬姿勢をひとまず封印した。

中西部ミネソタ州で起きた黒人死亡事件に対する抗議デモに触れて「州兵が街頭での平和や安全、合衆国憲法に基づく法の支配を守った」と評価した。1861~65年の南北戦争について「陸軍士官学校の出身者が奴隷制という弊害をなくすために戦った」とも語った。同じ士官学校出身で奴隷制維持を目指して戦った南軍のリー将軍については触れなかった。

トランプ氏は全米で起きた抗議デモへの対応をめぐり、米軍と対立してきた。エスパー国防長官はデモ鎮圧に向けて連邦軍動員を辞さない構えのトランプ氏に反発。米軍制服組トップのミリー氏は、11月の大統領選に向けてデモ隊に強硬姿勢を示すことで「強い指導者」を演出したいトランプ氏の写真撮影に付き添ったことについて、政治に関与しない軍トップの行動として「誤りだった」と謝罪した。

米メディアによるとトランプ氏はエスパー氏の解任を一時検討したが、周辺から思いとどまるよう強く進言された。新型コロナウイルスの感染や抗議デモ、中国との対立が続くなかで国防トップが不在になるのは好ましくないとなだめられたという。トランプ氏は12日のFOXニュースのインタビューで、エスパー氏らの反発について「そんなに大きくない」と語って批判を避けた。

ただ対立の火種は残る。国防総省では人種差別を想起させる南軍にちなんだ米軍基地の改名を探る動きがあるが、トランプ氏は「歴史を改ざんしてはならない」として反対している。アフガニスタンからの米軍撤収に加え、ドイツでの駐留を縮小するとの報道もある。大統領選に向けてトランプ氏が米軍の意向に反して駐留米軍の撤収や縮小を進める可能性が残る。

歴代大統領は陸軍士官学校の卒業式に出席してきたが、全米で人種差別問題に関心が集まる中でのトランプ氏の祝辞が注目されていた。士官学校のキャンパスにはリー将軍の名前をつけた建物がいまも残るなど黒人差別をめぐる歴史が刻まれた場所でもある。

米軍事専門紙「ミリタリー・タイムズ」が現役兵士を対象とした調査によると、軍内部で人種差別的な言動があるとの回答は2019年に36%と前年から14ポイント上がった。軍の約4割を非白人が占めており、トランプ氏が人種差別的な言動を繰り返すほど軍内部に亀裂が生まれる恐れもある。米軍内ではこれまで国防予算を大幅に増やしたことなどをあげてトランプ氏の政策を評価する声も目立っていた。

米大統領選

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