ビジネスにもなじむベージュ 魅力引き出す3つのコツ
宮田理江のおしゃれレッスン

心を整えるような穏やか志向の装いが静かに支持を広げています。代表的な色がベージュ系(クリームやサンドカラーなどを含む)。リラックスしやすい休日向きの色として好まれていますが、落ち着きがあるので、実はビジネスシーンにもなじむ色です。アメリカントラッドの代名詞的存在のブランド「Ralph Lauren Collection(ラルフ ローレン コレクション)」は、通年で着やすいプレフォールコレクションでベージュをシーズンレスに着こなすコーディネートを提案。ベージュの魅力をもっと引き出せるスタイリングには、3つのコツがありました。
「白シャツ」を相棒に迎えて、スーツの単品アレンジ

色をそろえてあれば、共生地のスーツでなくても、全体が整って映ります。スーツの単品使いにも新発想のスタイリングが登場。こちらはベージュのピンストライプ柄ジャケットに、チェック柄のパンツを組み合わせました。異なる柄を引き合わせて、程よい「ずれ感」を醸し出すと、かえってこなれた見え具合に。雰囲気のやわらかいベージュに、シャープなストライプとトラッドなチェック柄の組み合わせが程よい意外感を生んでいます。
上下を仲立ちしているのは、斜めに打ち合わせるカシュクール仕立ての白シャツ。正面にボタンが見えないエレガントなたたずまい。そこにジャケットとパンツを合わせることによって、凜(りん)とした着映えに。ストライプのおかげで上半身がスマートに見える仕掛け。異なる柄同士をミックスする「柄on柄」コーデを、ビジネスシーンに持ち込むには、白シャツで清潔感を感じさせるのが得策です。

キュロットやバミューダなどのショートパンツが脚光を浴びています。脚の露出が多めのショートパンツは従来、オフィスにはなじまないとみられがちでしたが、近ごろは職場にふさわしい節度を備えたタイプに進化。スーツライクな装いにも組み込まれるようになってきました。
端正なベージュジャケットに引き合わせたのは、膝上レングスのキュロットパンツです。見慣れたカジュアルテイストではなく、細かいチェック柄を配した、エレガント仕様のキュロットは大人っぽいムードが漂います。白シャツを合わせると、きれいめのキュロットスタイルに。バッグと靴でクラシックな雰囲気を濃くすれば、ミニ丈でもきちんと感を印象づけられます。
「異素材」を取り入れて、着映えを奥行き深く

ベーシックな色だからこそ、ベージュには多彩な「味付け」が可能です。穏やかなトーンを際立たせるには、つややかな生地とのマッチングが効果的。上下で異なる質感のウエアを引き合わせれば、表情に深みのある着映えに仕上がります。
光沢を帯びた、シャンパンカラーのプリーツスカートが装いを華やがせました。ベージュのニットトップスとは、風合いやつやが大きく異なるから、互いを引き立て合うコンビネーションに。同素材のスカーフを首元に迎えれば、相乗効果が生まれます。メタリックのミニバッグとパンプスでさらにあでやかさを高めて。リラックス感のあるニットがいっそう引き立つ仕掛けです。

小物類をベージュルックに取り入れる選択肢もあります。汗ばむ季節でも、エアコンの加減で、温度が気になりがち。スカーフやストールは着脱が簡単だから、温度調節に便利です。カラーが近くても、使い方が異なるので、装いに動きが加わります。
ハイウエストのパンツは、足首に向かって細くなるシルエットがレッグラインをすっきり見せてくれます。さらに、ポンチョを肩から垂らして、「落ち感」をプラス。長いフリンジ(房飾り)状になっているので、リズムが加わりました。ざっくりした編み地が涼しげで、素朴感やのどかさを帯びています。ポンチョのほかに、大判スカーフやストールも、このように広げてまとうと、ジャケットのように「着る」ことができて、白シャツに重ねるレイヤードを組み立てられます。
「レザー小物」で全体のトーンを引き締め

ベージュは色のトーンが淡く、肌となじみやすいので、ニュートラルな雰囲気を保つことができます。癖がない分、自在にアレンジが可能な万能カラーともいえるでしょう。印象が柔らかい色だからこそ、様々なシーンで使えるわけです。
そんなベージュに濃いめカラーを添えるだけで、ぐっとめりはりが出てきます。ベージュより色が深いブラウン系は絶好のパートナー色。上下がつながったジャンプスーツが脚線を伸びやかに印象づけています。淡いベージュを引き立てているのは、首周りや腕ぐりにあしらったブラウンカラーのトリミング(縁取り)。深いブラウンのバッグとシューズも引き締め効果を発揮してくれます。

編み地のおかげで、やさしげなムードを帯びるベージュのニットで全体を組み上げると、柔和なムードに整えられます。ソフトなイメージを強めるには、服以外の小物類に濃いめカラーを投入するのが賢いスタイリング。具体的にはバッグや靴が工夫のしどころです。レザーのクールな質感を生かすと、ニットとの違いが際立ちます。
着丈の長いベスト(ジレ)を重ねたレイヤードは、縦長イメージを強調する仕掛け。トーンの近いニットルックが単調に見えていないのは、バッグと靴に生かしたブラウンカラーのおかげ。濃い色や、赤みを帯びた色を引き合わせることによって、ベージュらしさを引き立てる配色です。
シーズンレスなニュートラルカラーは心も装いも穏やかに
アメリカントラッドを体現する「Ralph Lauren Collection」は、トレンドに左右されないタイムレスな装いが魅力の一つです。20年プレフォールコレクションは、従来の季節感にとらわれないシーズンレスな装いを提案しています。ニュートラル(中間的)な色を軸に据えつつ、レザーのトリミングを配して、スパイスを加えるといったアレンジが装いの趣を深くしました。
無難な見え具合に収まってしまいがちなベージュですが、白シャツ、異素材、革小物の3大「相棒」を活用すれば、着こなしレパートリーが広がります。癖が強くないうえ、温和な印象を醸し出すベージュは、人に寄り添うようなイメージが持ち味だけに、不穏の時代を迎え、一段と支持される色になっていきそうです。
ラルフ ローレン
https://www.ralphlauren.co.jp/

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