リニア準備工事の6月再開に難色、静岡県知事
静岡県の川勝平太知事は11日、JR東海がリニア中央新幹線の2027年開業の前提とする静岡工区準備工事の6月再開について「トンネルを掘るための工事なら本体工事と一緒と考えている」と容認できない意向を表明した。建設現場を視察後、記者団に語った。

県とJR東海は大井川の流量減少問題を巡り主張が対立し、リニア着工のメドが立っていない。川勝知事はトンネル掘削に使う資材や機械を置く作業基地「ヤード」と、作業道として補修中の林道を視察した。作業基地はJR東海の宇野護副社長が案内した。
JR東海の金子慎社長はトンネル掘削で出る湧水を大井川に戻す導水路トンネルの入り口付近などの樹木伐採や整地を求め、川勝知事に会談を要請している。川勝知事は現地を視察し、伐採や土地の造作が「本体工事なのは言うまでもない」との認識を示した。
一方、JR東海が目指すリニアの27年開業については「東京五輪の開催決定や新型コロナウイルスの(感染拡大)前に決められた日程に固執するのは大切と思わない」と指摘。大井川の流量減少問題を議論する国の有識者会議にも触れ「遅らせているのはJR東海自身だ」と批判した。
川勝知事は近く大井川流域市町の首長とオンライン会議を開き、意見をまとめた上で金子社長と会談する方針だ。