iPS網膜の臨床研究了承 厚労省、目の難病で移植

2020/6/11 18:28 (2020/6/11 19:28更新)
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厚生労働省の専門部会は11日、人の人工多能性幹細胞(iPS細胞)から作ったシート状の網膜組織を、進行性の難病「網膜色素変性症」の患者に移植する神戸市立神戸アイセンター病院の臨床研究の実施を了承した。iPS細胞を使った再生医療の臨床応用が認められたのは国内8例目。

iPS細胞を使った目の病気の臨床研究は、網膜に障害が起きて視力が低下する滲出(しんしゅつ)型加齢黄斑変性や、角膜が濁る角膜上皮幹細胞疲弊症で実施されている。今回、新たな計画が認められたことで、さらに研究が加速すると期待される。

同病院の平見恭彦副院長は11日、「了承され、ひとまず安心している。今後の実施は社会情勢を考慮し、安全を優先しつつ慎重に検討していく」とコメントした。

網膜色素変性症は光を感じる網膜の視細胞が徐々になくなり、暗いところでものが見えにくくなったり、視野が狭くなったりする。その後、視力が落ちていき、失明することもある。国内の推定患者は約4万人で、確立した治療法はない。

計画によると、京都大に備蓄された他人のiPS細胞から、光に反応する視細胞を含んだ網膜の組織をシート状にして目に移植する。視野がかなり狭くなった重症の患者が対象で、移植した細胞が異常に増えないかどうかといった安全性を1年間かけて検証する。目が光を感じられるようになったかどうかも確認する。

網膜は目の奥に位置する薄い膜で、光は視細胞で電気信号に変換され視神経を通じ脳に伝わる。治療によって視細胞や視神経の機能を取り戻すことを目指すが、劇的な視力向上にはさらなる技術革新が必要になるという。

〔共同〕

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