オンライン活用の大学、悩む成績評価 「遠隔試験」も

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2020/6/12 3:00
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新型コロナウイルスの感染拡大でオンラインによる遠隔授業を導入した大学が、学期末の試験の方法に頭を悩ませている。従来通り教室で実施したいが、学生の「密集」を避ける必要があるからだ。リポートでの成績評価や在宅のまま受けられる「遠隔試験」の導入など、工夫を凝らす現場をのぞいた。

名古屋商科大が導入した遠隔試験では、教員がモニターで学生の様子を確認する(名古屋市中区)

名古屋商科大が導入した遠隔試験では、教員がモニターで学生の様子を確認する(名古屋市中区)

「それでは試験を始めてください」。6月上旬、名古屋商科大の名古屋丸の内キャンパス(名古屋市中区)で始まったオンラインでの期末試験。経営学部の韓尚憲教授がモニター越しで、3~4年の学生約40人に試験開始を告げた。

名商大は短期留学がしやすい「4学期制(クオーター制)」を取り入れており、この時期に最初の期末試験がある。試験問題は開始に合わせてオンラインで学生に共有される。学生は、あらかじめ印刷しておいた解答用紙に自身の分析や意見を書き込む。70分の試験時間が終わると同時に自身のスマートフォンで解答用紙を撮影し、オンラインで提出する仕組みだ。

学生が答えを教え合うなどの不正を防ぐため、韓教授はモニターで学生の様子をこまめに確認する。体調不良など試験中の問い合わせにもチャット機能で応じられるようにしている。

新型コロナの感染拡大を受け、名商大はいち早く遠隔授業を取り入れた。近年は授業中の発言内容などが重視され、ペーパーの期末試験の重要度は下がっているというが、栗本博行学長は「成績評価に試験は不可欠。初めての試みで手探りだったが、なんとか乗り切ることができた」と話す。他の授業でもこうした遠隔試験を進める方針だ。

ただ、科目によってはオンライン試験が難しいケースもある。特にリスニングを含む語学は、「通信環境の一時的な悪化で公平さが保てなくなる懸念があるため、実施が難しい」(大学関係者)とされる。

同じく4学期制で語学教育が盛んな南山大は、6月4日にオンライン授業で1学期を終えた。語学の授業では、通常は4~5日ある期末試験日を授業に充て、代わりに日々の提出課題を増やして成績を評価した。通常よりリポートなどが増え、学生からは「普段よりもかなり大変だった」との声も上がったという。

語学教育全般を担う山田哲也・外国語教育センター長は「毎回の授業で定着の度合いは確認できているが、総復習としての期末試験がないことのデメリットも検証する必要がある」と語る。

文部科学省によると、全国の大学や高等専門学校のうち、6割が遠隔のみで授業を実施している。多くの2学期制の大学は7月中旬から8月上旬に試験を予定するが、名古屋大は試験の実施の有無や方法について決まっていないという。

名大の担当者は「(密閉、密集、密接の)『3密』を避けながら学内でこれまで通りできるのか検討しているが、十分な広さの教室が確保できるか分からない。試験の時期に感染が再び拡大している可能性もあり、判断が難しい」と明かす。

実習などを除き、前期のほぼ全てを遠隔授業とした三重大は期末試験の方法を各教員に委ねている。教員ごとに、オンラインや3密を避けながらの教室での実施を検討しているという。

(藤井将太)

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