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正社員の稼ぎ方が変わる コロナで減収、副業も選択肢

20代から考える出世戦略(86)

イラストはイメージ =PIXTA

リモートワーク、ジョブ型組織、副業促進など、働き方を取り巻く環境が激変しています。そんな中、働き方から一歩踏み込んで「稼ぎ方」が変化する可能性について考えてみましょう。

会社に所属する意味

コロナショックによる働き方への最大の影響は解雇でした。そうしないと企業が立ちいかなくなる、ということからの苦渋の選択をした報道は記憶に新しいでしょう。

東京商工リサーチによる全国企業倒産状況データを見ると、2020年4月の総倒産件数は743で、そのうち71件が新型コロナウィルス関連倒産とのことです。総倒産件数の同月推移をみると、17年680件、18年が650件、19年が645件なので、10%ほど倒産件数が増えていることがわかります。

緊急事態宣言の解除にともない倒産件数は減少するかもしれません。けれども企業業績の悪化は長きにわたり影響するでしょう。

そうなると経営者が、あらためて苦渋の選択をせざる得なくなるかもしれません。給与カットや賞与カットなどの一時的な対応や、昇給・昇格停止のように継続的に影響を与えるものもあります。

また、残業カットも大きな影響を与えるでしょう。特に新卒で残業があたりまえの業界では、実質初任給が大きく減額になります。たとえば出版社や放送局などのメディア系では、初任給そのものはメーカーなどと大きく変わりませんが、月給と同額に近い残業代を支給されることが多かったのです。初任給は24万円だけれど、残業代を含む額面は50万円、といった具合ですね。それがほぼゼロになることは、就社意識そのものに影響を与えるかもしれません。

総じて、多くの企業で給与額が抑えられる中で、それでも会社にいる意味を私たちはどう考えるべきでしょうか。

会社が確保してくれるのは最低限の安心

会社に雇用されることは、安心を得ることだと考えられてきました。中でも正社員になる、ということが究極の安心のように思われていました。それは政府にしてもそうです。正社員化に向けた様々な取り組みが物語っています。

会社に雇用されると、給与、という形でほぼ定額の収入を得ます。すると生活の維持が楽になります。また社会保険に加入することで、けがをしたり病気になったりしたときの自己負担が一部で済みます。出産や育児のタイミングでの給付金もあります。仮に職を失ったとしても、失業給付を得られる場合があります。

会社に雇用されることは、社会的インフラでもあったわけです。

けれどもそれらは企業が成長しているか、少なくとも安定的に経営できている状態でしか確保されないものだ、ということが今回の件で多くの人に実感されました。

企業業績が悪化すると経営が立ちいかなくなる可能性があります。経営が立ちいかないと、雇用は守れません。安定的な給与だって約束できなくなります。

さらにいえば、社会保険による保護すら減少する可能性もあります。そうならないようにするため、厚生労働省が厚生年金については1年間の延滞金なしでの猶予を決めましたが、年金以外の健康保険や労働保険については猶予されるという報道は見つけられていません。個人的にはこのあたり、次の問題になるのでは、と思っていますが、それは置いといて。

企業が立ちいかなるような状態になるとき、私たちが安定の代名詞にように思っていた正社員は、決して安定を約束するものにならない、ということがわかります。

企業側もそうならないように努力はしていますが、働く私たちは、今後来るリスクに備えていかなくてはいけません。

副業を残業代の代わりにする

シンプルな答えのひとつは副業です。

19年度に多くの企業で副業が解禁されましたが、20年度はさらに拡大することでしょう。そのきっかけの一つがリモートワークです。

副業がなかなか広がりづらかった原因の一つに、仕事を依頼する側の問題がありました。第一に、個人ごとに発注する仕事を明確に区分しづらいという問題がありました。第二に、物理的に集まってもらうことの難しさもありました。

たとえばあるシステム開発プロジェクトに、他社のプロジェクト管理の専門家に副業として参画を依頼する際に、何をどこまで期待するのか、作業をどこで行ってもらうのか、ということが大きなボトルネックだったわけです。

それらがリモートワークで一気に解消しています。

作業は個人別に明確になり、物理的な距離もほぼ関係なくなりました。また、仕事を請ける側のハードルも低くなりました。

それは在宅が中心となり、出退勤の時間がなくなったからです。

物理的な移動がなくなったことで、本業の就労時間から数分で副業の就労時間に移行することも可能になりました。

こうして副業を行っていけば、残業削減による収入の減少は補いやすくなります。請ける金額によっては、賞与の減少すら補填できるかもしれません。

月給35万円のビジネスパーソンの残業代は1時間で3000円ほどです。副業を請ける際には、本業における自分の残業時間単価と比較してみるのもよいでしょう。

副業には厳しい条件がある

とはいえ、副業ができる職種やスキルは、現時点でかなり限られています。

クラウドソーシングで有名なランサーズの仕事の種類・参考価格のページを見てみると、主な職種としては以下があげられています。

「コンサルティング」「事務・コンサル・専門職・その他」「システム開発・運用」「ライティング・ネーミング」「デザイン制作」「写真・動画・ナレーション」「Web制作・Webデザイン」「翻訳・通訳」「タスク・作業」

これらはつまり、手を動かせる専門職、です。

コンサルティングは一見すると助言だけに思われるかもしれませんが、実際には企業分析結果を戦略的なフレームワークに従って整理して示したり、事業計画策定においては売り上げや利益予測を数値として具体的に示したりすることもあたりまえです。自分の経験や知識を踏まえた助言だけを行い、手を動かすことはクライアントに任せてしまう、昔ながらのグレイヘアーコンサルティングは副業ではありえないのです。

顧問業という選択肢もあるが…

副業を請けるとしたら手を動かせる人にならないといけない。

けれども、多くの正社員で手を動かすことを求められている人は30代までが多いようです。40代以上になると、部下や後輩に手を動かす作業を依頼し、自分自身は方向指示や助言だけを行うことが増えてきます。残念ながらそういった人たちには副業市場は開かれてはいません。

ではどういう選択肢があるか、というと、その一つに顧問業があります。

大手人材紹介会社がこぞって参入している、定年退職した人向けの大きな人材市場になりつつあります。

経営アドバイス、販路紹介などが主な職務であり、月数回の訪問でそれらについての助言を行う契約が多いようです。

ただし、契約からのんびり1~2年をかけて結果を出してください、という例は全くありません。販路開拓であれば、契約の初月から、売り上げにつながる紹介ができないようならすぐにお払い箱です。つまり顧問業に求められるのは即効性です。

そう考えてみた時に、経営アドバイスや販路開拓で、即効性のある支援ができるかどうかをあらためて考えてみてください。

選ばれるスキルやつながりを意識する

副業にしても顧問業にしても、要は正社員としての本業以外にどう稼ぐか、ということです。シンプルに言ってしまえば、副業はスキルを稼ぎに変えることであり、顧問業はつながりを稼ぎに変えることです。

そうして考えてみれば、自分自身のスキルとつながりにどんな価値があるのか、ということを棚卸することが稼ぎ方を考えることになります。

もし今、スキルもつながりも不十分だとすれば、それらを獲得するための努力から入るしかなさそうです。すると自然と目の前の仕事を頑張ることになるのですが、今後はその仕事をすることでどんなスキルが手に入るのか、どんなつながりが手に入るのか、ということを意識してみてください。

さらに、何の気なしに後輩に任せていた仕事を自分でやってみるとか、面倒だと思って足を運ばなかった関連先に直接行ってみて話を聞くなどしてみてください。

平康慶浩
 セレクションアンドバリエーション代表取締役、人事コンサルタント。1969年大阪生まれ。早稲田大学大学院ファイナンス研究科MBA取得。アクセンチュア、日本総合研究所をへて、2012年から現職。大企業から中小企業まで130社以上の人事評価制度改革に携わる。高度人材養成機構理事リーダーシップ開発センター長。

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