/

中国企業、外貨建て債2割減 今年前半 国内調達へ

中国経済の減速懸念が外貨建て債の減少につながった=ロイター

【上海=張勇祥】米中対立が中国企業の資金調達に影響し始めた。2020年の外貨建て社債の発行額は6月上旬までで270億ドル(約2兆9000億円)強と、前年同期比2割減った。中国経済の減速や、米国による対中制裁の強化を投資家は警戒する。習近平(シー・ジンピン)指導部は持久戦の構えで債券、株式とも国内回帰の姿勢を強めている。

福建省アモイで不動産開発に携わる明発集団は5日、1億7600万ドルのドル建て社債を発行した。市場が驚いたのはその条件で、表面利率が年22%に達していた。

同社を巡っては、5月に満期を迎えた私募債2億2千万ドルの償還が遅れているとの観測がある。投資家が資金繰りに悩む同社の足元を見ている構図とはいえ、20%を超す発行金利は中国企業として過去最高水準だ。

データセンターを運営する鵬博士電信伝媒集団も1日、満期を迎えた社債5億ドルの償還を18カ月繰り延べると発表した。外貨建て社債の発行額270億ドル強のうち、ネットサービス大手の騰訊控股(テンセント)1社で60億ドルを占める。数字以上に中国企業の調達環境は悪化している。

社債の発行額は調査会社リフィニティブのデータをもとに集計した。金融は除いた。中国企業は20年に約500億ドルの社債が満期を迎える。現状では償還資金の手当てしかできず、海外投資を制約しかねない。

社債発行が減っている理由として挙げられるのが、新型コロナウイルスが中国企業に与える打撃への懸念だ。上海、深圳市場に上場する約3750社の20年1~3月期は5割超の最終減益だった。中国は5月の全国人民代表大会(全人代)で大規模な財政支出を決めたが、効果が現れるには時間がかかる。

米中対立ものしかかる。トランプ政権は米国に上場する中国企業への締め付けを強めており、20年の新規株式公開(IPO)は社数で前年の3分の2、金額では半分ほどのペースにとどまる。「債券の投資家も慎重にならざるを得ない」(格付け会社フィッチ・レーティングスの張順成アナリスト)との声がある。

中国が米国への対抗策として持ち出すとの観測がある「キープウェル」条項も波乱材料だ。海外で社債を発行する子会社を支援するため、親会社が子会社の財務を良好に保つと約束する内容だ。キープウェルの活用は徐々に減少しているが、なお1000億ドル近い残高があるとされる。

だが裁判所の監督下で再建中の国有企業、北大方正が付与したキープウェルが履行されるか不透明な状況に陥っている。仮に裁判所がキープウェルの実施を不要とすれば、同様の動きが他の社債にも広がりかねない。

中国企業が向かっているのが国内や香港市場だ。中国国内における元建て社債の発行額は既に5兆7千億元(87兆円)に上り、前年同期(4兆元強)より4割増えた。IPOも中国本土での調達額は1300億元超と前年から倍増した。

ゲーム大手の網易(ネットイース)が11日に香港上場を果たすなど、米国との重複上場も勢いを増している。習指導部には、香港国家安全法の制定を決めた後も金融市場は平穏を保っていると強調する狙いもある。金融面で米中の分断が強まれば、海外投資家が有望な投資対象を失うなどの不利益が隠せなくなる。

春割ですべての記事が読み放題
今なら2カ月無料!

セレクション

トレンドウオッチ

新着

ビジネス

暮らし

ゆとり

新着

ビジネス

暮らし

ゆとり

新着

ビジネス

暮らし

ゆとり

フォローする
有料会員の方のみご利用になれます。気になる連載・コラム・キーワードをフォローすると、「Myニュース」でまとめよみができます。
春割で申し込むログイン
記事を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
春割で申し込むログイン
Think! の投稿を読む
記事と併せて、エキスパート(専門家)のひとこと解説や分析を読むことができます。会員の方のみご利用になれます。
春割で申し込むログイン