/

降級廃止1年、下級条件レベル低下 今夏も3歳馬優位

中央競馬で2019年夏に降級制度が廃止されてから1年がたった。下級条件のレースのレベル低下や、上級条件のレースでの出走頭数増など、この1年で廃止による様々な影響がみられた。どのような変化があったか、データを交えて振り返ってみたい。

中央競馬では競走馬を上からオープン、3勝クラス、2勝クラス、1勝クラス、新馬・未勝利の5段階のクラスに分け、力量の近い馬を競わせている。

19年夏までは一定の条件に当てはまる馬を上のクラスから下のクラスに降級させる仕組みがあった。廃止直前の対象は4歳馬で、夏競馬が始まる6月にクラスが再編され、一部の馬が降級した。春までは別々に走っていた4歳以上の馬と3歳馬が一緒に走るようになるのも、ちょうどこの時期。強い4歳の降級馬が3歳馬に立ちはだかるという構図が夏競馬では毎年みられた。

降級廃止後は1勝クラスなど下級条件のレースのレベル低下が目立つ(5月31日の京都競馬場)

降級は日本の馬資源が乏しかった時代に生まれた制度。出走頭数を確保しようと、4歳以上の馬が有利な条件で出走できる仕組みにして、長く現役を続けてもらおうというものだった。

ただ、競走馬の生産頭数も増え、馬資源が確保できるようになったことから、制度維持の必要性は薄れていた。降級でオープンや3勝クラスなどの在籍馬が減り、売り上げが見込める上級クラスのレースの頭数が集まらないなどの問題もあった。降級廃止には上級クラスのレースの出走頭数を増やして魅力を高めたり、レースの数を増やしたりする狙いがあった。

それでは降級廃止からの1年間でどのような変化があったか。目立ったのは各クラスのレースの水準の低下である。

最下級条件クラスでは在籍馬が減少

基本的に力量の高い馬から順番に勝ち、上のクラスに昇級していくため、下のクラスは「負け残り」の形になる。降級があったこれまでは、降級馬が先に勝ち、元にいたクラスへと戻ってから、他の馬が勝つという傾向があった。ただ、降級が無くなった昨夏以降は、降級馬がいた場合には勝てなかったであろう馬も早々に勝ち上がってしまい、各クラスに残る馬の層が薄くなった。

レベルの低下が特に顕著だったのは最下級条件の1勝クラスだった。2勝クラス以上では下のクラスを勝った馬が新戦力として常に補充される一方、1勝クラスは3歳未勝利戦が終わると、新しい馬が入ってこなくなる。19年からは降級廃止と同時に3歳未勝利戦の終了時期も従来より1カ月前倒しされ、9月初めとなった。例年より早く、新戦力の補充が無くなってしまった格好だ。

そもそも降級廃止で19年夏の1勝クラス在籍馬は18年夏と比べて14%減っていた。その状況から勝った馬が上のクラスへと抜けていく一方となったため、夏競馬直前の20年5月になると、1勝クラスのレースのレベルは例年と比べると著しく低下した。

在籍頭数の減少で出走馬が集まらないレースも増えた。4月下旬~5月末に行われる東京、京都競馬の期間の4歳以上1勝クラス(同時に開催された福島、新潟も含む)のレースでは、20年は全78レース中、10レースで出走頭数がひとケタだった。そのうち1つはレース成立に必要な頭数ぎりぎりの5頭立て。ほかにも7頭立てが1つ、8頭立てが2つ出現した。19年の同期間は全81レース中、ひとケタの出走頭数のレースは7つ。8頭以下のレースは2つだけだった。

抽選に外れ、出たいレースに出られない馬も

一方で、在籍頭数の増えた4歳以上の3勝クラスでは同じ期間のレース数が19年の24から20年は27へと増加。15頭立て以上の多頭数のレースも9から14に増えた。上級条件のレースの充実という降級廃止の目的は達せられたようにみえる。

ただ、出走希望馬が出走可能頭数を上回るレースも多く、抽選で除外されて出たいレースに出られないというケースも目立った。新型コロナウイルスの感染拡大で、関東馬は東京、関西馬は京都のレースにしか出走できない(福島、新潟には双方から出走可能)という移動制限がかかった影響も考えられるが、3勝クラスのレース数の見直しなどは今後の課題となりそうだ。

降級廃止による大きな変化はもう一つある。4歳以上の馬と3歳馬が一緒に走る6~12月の1、2勝クラスでは、3歳馬が圧倒的に優位に立つようになった。

降級廃止前の18年は1勝クラスでは3、4歳馬は連対率15.3%で並び、2勝クラスでは3歳馬24.5%、4歳馬が22.5%だった。これが降級廃止後の19年は1勝クラスで3歳馬18.5%、4歳馬11.6%に、2勝クラスでは3歳馬25.4%、4歳馬13.4%となった。降級廃止直後の昨夏の段階で「降級の強い4歳馬がいなくなるから、3歳馬が有利になる」と予想する声が関係者から上がったが、その通りの結果となった。

降級廃止の影響で20年の4歳以上の下級条件馬の層はこれまで以上に薄くなっていることから、この夏の1、2勝クラスは19年以上に3歳馬優位になると考えられる。馬券戦略も3歳馬を中心に練るべきだろう。

(関根慶太郎)

すべての記事が読み放題
有料会員が初回1カ月無料

関連キーワード

セレクション

トレンドウオッチ

新着

注目

ビジネス

暮らし

新着

注目

ビジネス

暮らし

新着

注目

ビジネス

暮らし

フォローする
有料会員の方のみご利用になれます。気になる連載・コラム・キーワードをフォローすると、「Myニュース」でまとめよみができます。
新規会員登録ログイン
記事を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
新規会員登録ログイン
Think! の投稿を読む
記事と併せて、エキスパート(専門家)のひとこと解説や分析を読むことができます。会員の方のみご利用になれます。
新規会員登録 (無料)ログイン