取っ手に触れずドアオープン コロナ対策に町工場の技

2020/6/14 2:00
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町工場が新型コロナウイルスの感染防止に役立つ製品を生み出している。取っ手に触れずにドアが開けられる器具や飛沫を遮断する段ボール製ついたて。ウイルスを無害化するオゾンガス消毒器は全国から注目される。武器はアイデアと技術力。製造業の事業所が集まる大阪府東大阪市のものづくり現場を訪ねた。

■甲子化学工業 腕でドア開くアタッチメント

プラスチック製品の製造を手掛ける甲子化学工業(大阪市東成区)は、東大阪市の生産拠点で、取っ手に触れずにドアを開けられる「アームハンドル」を開発した。プラスチック製の器具をドアノブに取り付けることで、腕でドアが開けられるようになる。ウイルスが付着しやすい取っ手に手指が直接触れないため、接触感染の減少につながる効果が期待できる。6月5日に販売を開始し、食品加工やコールセンターといったテレワークができない企業などから約4000個の注文があるという。企画開発主任の南原徹也さん(32)は、「感染防止のために、ものづくりで世の中の役に立てないかと思い考案した」と話す。現在、販売しているのは開き戸用。7月には病院や介護施設に多いスライドドアに対応した製品も販売予定だ。汗などでべたつかないよう肌触りにも配慮したメッシュ地カバーの準備も進める。

■タムラテコ ウイルスを無害化するオゾンガス消毒器

「製品を必要とする現場へ1日でも早く届けたい」。そう力を込めるのは機械メーカー、タムラテコ(大阪府東大阪市)の田村耕三社長(48)。従業員35人の町工場が急ピッチで生産を進めるのがウイルスを無害化するオゾンガス消毒器だ。通常、年3000台ほどの注文があるところ、この数カ月で全国の医療機関や消防、学校などから17万台以上の注文がきている。だが、部品の一部は海外製。現地工場の閉鎖や輸送の滞りで調達できない状態が続く。そのため、代替品を国内で探したり、自分たちで類似部品に手を加え対応したりしているが、追いつかないのが現状だ。5月にはオゾンガスが新型コロナウイルスも無害化することを奈良県立医科大学などの研究チームが発表した。患者が退院した病室には空気中やベッド、カーテンなどにウイルスが残るが、人手を使わず消毒できる装置は医療従事者の負担軽減にもつながる。部品調達に走る田村社長の奮闘は続く。

■マツダ紙工業 飛沫遮る段ボール

近畿大学東大阪キャンパスの図書エリアに設置された飛沫感染対策ボード(9日)

近畿大学東大阪キャンパスの図書エリアに設置された飛沫感染対策ボード(9日)

学生が自習にいそしむ机に段ボール製のついたてが並ぶ。キャンパスへの入構制限が6月8日に緩和された近畿大学。図書館や食堂などの学内施設には多くの飛沫感染対策ボードが設置されていた。開発したのは段ボール製造のマツダ紙工業(大阪府東大阪市)。プラスチック板を段ボールで挟んだ簡易ボードで、ほんの数分で組み立てられる。全面プラスチック製は1万円を超えるものもあるが、3300円(税抜き)と安価なうえ、持ち運びも容易だ。下部を切り取れば書類やものの受け渡しが可能。4月に販売を開始し、これまで企業や教育機関などに約5000個納品した。同社の松田和人社長(57)は、「段ボールなので開口部の大きさが調節できる。さまざまな業種で使用してほしい」と話す。採血を行う病院やネイルサロンなどからも引き合いがあるという。

(大阪写真映像部 玉井良幸、目良友樹、笹津敏暉)

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