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五輪、簡素化でも壁高く 組織委がIOCに原則説明

2020/6/10 21:40 (2020/6/11 5:53更新)
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来年に延期された東京五輪を巡り、国際オリンピック委員会(IOC)は10日、理事会を開いて大会運営方針を協議した。日本側は参加する関係者やコストを減らした「シンプル五輪」を志向し、新型コロナウイルスの感染防止を徹底するとの基本方針を示した。だが世界の感染状況次第で開催の可否そのものが問われる可能性は残り、先行きはなお不透明だ。

競技数を維持、式典短く

大会組織委員会の森喜朗会長は10日夜、オンラインによる理事会での説明後に記者会見し「コロナで世界中が大変混乱し、多くの犠牲者も出ている。今までのような華美、豪華が当てはまらないものにしないといけない」と話した。武藤敏郎事務総長は新型コロナ対策を「最大の課題」とし「刻々と状況が変わるため直前まで様々な検討を進める」と語った。

日本側は理事会で▽安全・安心な環境の提供▽費用の最小化▽大会の簡素化――の3つを基本原則とすると報告。9月から年末にかけて新型コロナ対策の検討を進め、2021年1~3月には本番に向けた課題の洗い出しに取り組むとのロードマップも示した。

IOCのバッハ会長は理事会後の記者会見で「大会の簡素化とコスト削減の面で、短い期間で素晴らしい前進がみられた」と日本側の説明を評価した。

対策の具体的な詰めはこれからだ。IOCは「アスリートファースト」をうたっており、競技自体の削減には否定的。33の五輪競技数は変えず、日程なども延期前と同じ内容を維持する意向を示している。

そのため、対策の中心は競技以外の式典部分などになりそうだ。選手が同じ場所で長時間待機せずに済むよう、開会式での入場行進の省略や、セレモニーの時間短縮などを検討する。更衣室の配置など、選手動線の見直しも課題になる。

選手村での滞在期間を短くしたり、滞在中も外出を自粛してもらったりすることも考えられる。キャンプ先のホストタウンでも、地元住民との交流事業が見送られる可能性がある。

観客の感染対策としては、密集状態になりやすい観客席の使用制限が検討されている。スタジアムでは席の使用を数席おきとすることなどが想定される。

ただ、こうした接触減を軸にした対策は収入減に直結する。仮に観客席を1席おきにすれば観客数は半分になる。

組織委は五輪で900万枚超のチケットを販売する計画を立てていた。既に448万枚を販売し、今後も追加販売されるはずだったが、このまま売り出されない可能性がある。販売見送りや払い戻しがあれば、当初予定した900億円のチケット収入のうち、200億~300億円が失われる恐れもある。

検査水準、国ごとに差

選手らの感染チェックも課題だ。大会関係者は「来日前と来日後など複数回の検査が望ましい」と話す。だが感染対策は参加国・地域の間で大きな差があるのが実情で、来日前に一定水準以上の検査を一律に求めるのは事実上難しい。

来日後の検査でも、選手や大会関係者、各国メディアなど約10万人がやってくるのに対し、日本のPCR検査実施能力は直近でも1日約2万7千件にとどまっており、スムーズに対応できない可能性がある。

競技会場ごとのサーモグラフィーの設置なども検討されている。当初3千億円程度と見込まれた延期に伴う追加費用はコロナ対策でさらに膨らみかねず、収入減と合わせた「ダブルパンチ」となりそうだ。

可否の最終判断、時期不透明

開催の可否は、いつ最終判断されるのか。感染終息やワクチンの実用化は、今のところ明確な見通しが立っていない。「第2波」「第3波」を予想する声もあり、今後も世界的な感染が継続するようなら、開催に悲観的な見方が国際的に広がりかねない。

最終判断の時期は、遅いほどワクチン開発などの時間が稼げるほか、世界の感染が落ち着き、開催可能性が高まるとの見方がある。組織委の遠藤利明副会長は、来春まで事態の推移を見守るべきだとの考えを示した。

ただ組織委内にも「それでは遅すぎる」との意見がある。バッハ会長はこれまで「結論を出すには早すぎる」と明言を避けているが、IOC委員の中には、今秋の状況を見極めた上で対策を協議すべきだといった声もある。

IOCは今年9月をメドに、大会運営の変更内容を最終的に取りまとめる予定。それを受けて、感染状況もにらみつつ開催の可否の検討が本格化するとみられる。

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