リニア工事のトンネル整備 静岡市とJR東海が協定

静岡市は10日、リニア中央新幹線の工事の作業道「主要地方道南アルプス公園線」のトンネル新設について、調査や準備が整ったとしてJR東海と協定を結んだ。今回新設するトンネルは全長4.7キロメートルで、リニア新幹線が通る南アルプストンネルから約60キロメートル南の大沢戸橋付近と、その南の京塚橋付近を結ぶ。JR東海が20年度中にトンネルの工事を発注し25年度の完成を予定する。
市の道路計画課によると、現在も大型車両が通れる道はあるが通行止めになりやすく、トンネルなら今より約20分早く往来できる。両者は2018年に工事に必要な道路整備での協力とトンネル新設費用約140億円をJR東海が全額負担すると基本合意していた。
JR東海の金子慎社長は同日、記者会見し「トンネルの仕様やどれくらいの坑口を設けるか打ち合わせしてきた。大きな節目を超えてよかった」と語った。
静岡県の川勝平太知事は同日の記者会見で「(協定締結後)2年間放っておかれたと思うが、ようやく(工事用の)トンネルの施工について明確な工程表を含む契約が結ばれた」と指摘した。
一方、静岡工区の着工については大井川の流量減少問題を巡り、県とJR東海の主張が対立、メドが立っていない。トンネル開通で地域の利便向上が期待できる静岡市とリニア工事を認めていない県には温度差がある。川勝知事は会見で、静岡工区の準備工事を6月に再開しなければ27年開業が難しくなるとの見通しを金子社長が示したことについて「特段気にしていない」と述べた。