開催断念のカンヌ映画祭、公式セレクションに56作品
河瀬直美監督「朝が来る」など上映支援

文化往来
2020/6/16 2:00
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「カンヌ2020」に選ばれた河瀬直美監督『朝が来る』の一場面
(C)2020『朝が来る』Film Partners

「カンヌ2020」に選ばれた河瀬直美監督『朝が来る』の一場面
(C)2020『朝が来る』Film Partners

新型コロナウイルスの影響で単独開催を断念したカンヌ国際映画祭は、最高賞パルムドールの選出を見送る代わりに公式セレクションとして56作品を選んだ。各作品は秋以降に各国で開かれる映画祭での上映を模索するほか、劇場公開時に「カンヌ2020」のロゴを冠して上映できるようにする。カンヌレーベルを作品のPRに役立ててもらい、観客動員を促す。

例年はコンペやある視点といった部門ごとに作品を選出してきたが、今回は区別することなく一本化して公式セレクションとした。ティエリー・フレモー総代表は記者会見で「一人ひとりが選出作品の中からパルムドールを選ぶことができる」と話し、コンペが開かれなくてもファンがその役割を果たせるという認識を示した。

選出されたのはウェス・アンダーソン監督「ザ・フレンチ・ディスパッチ(原題)」、トマス・ヴィンターベア監督「アナザー・ラウンド(英題)」などの常連組に加え、気鋭の若手監督の作品も数多く選ばれた。日本映画からは河瀬直美監督「朝が来る」、深田晃司監督「本気のしるし」、宮崎吾朗監督「アーヤと魔女」の3作が選ばれた。

「朝が来る」(10月23日公開)は辻村深月の小説が原作で、特別養子縁組を巡る家族の物語だ。8回目の選出となる河瀬監督は「カンヌという、夢のような場所に俳優やスタッフと共に行きたかった。そして、分かち合いたかった。カンヌレーベルの称号をいただけたことを誇りにして、より多くの人々へこの映画を贈ります」とコメントした。

「本気のしるし」(10月9日公開)は漫画が原作。2019年10~12月に名古屋テレビ放送で放送されたテレビドラマ全10話を、劇場版として再編集した約4時間の作品となる。「アーヤと魔女」は宮崎駿監督が企画、長男の吾朗監督が手掛けた長編アニメーション。スタジオジブリとしては初となる全編3DCG作品で、12月にNHKで放送される予定だ。

カンヌは18年、ネットフリックスをはじめとするネット配信会社の作品を最高賞を競うコンペティション部門から除外した。「映画は映画館で見るもの」という姿勢を明確に打ち出しており、今回もカンヌなりの映画の定義を貫いたともいえる。

カンヌレーベルの作品が今後、どの映画祭で披露されるのかはまだはっきりしない。9月のベネチア国際映画祭(イタリア)やサン・セバスチャン国際映画祭(スペイン)、10月の釜山国際映画祭(韓国)が候補として挙がっている。10月31日~11月9日に開かれる東京国際映画祭の関係者は「カンヌ側から具体的な話はないが、こちら側から提案していいかもしれない。実現すればプログラムの中にカンヌレーベル枠をもうける形になるだろう」と話している。

(近藤佳宜)

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