関西エアポート、揺らぐ成長路線 コロナで投資見直しも

2020/6/10 18:32
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閑散とする関西国際空港の出発ロビー(3月)

閑散とする関西国際空港の出発ロビー(3月)

関西国際空港などを運営する関西エアポートの事業モデルが逆風にさらされている。10日発表した2020年3月期の連結営業利益は524億円と前の期より8%減った。新型コロナウイルスの影響で2月以降に旅客数が激減。回復は当面見込みづらい状況だ。今後控える1千億円規模の投資計画が滞れば地域経済への影響も避けられないとみて、関西経済界も支援に動き始めた。

「ビジネスマン生活40年でここまで大きな現象が生じるのは初めて」。同日の記者会見で山谷佳之社長は硬い表情を見せた。売上高にあたる営業収益は2158億円と2%減少。免税店や飲食などの非航空系、着陸料などの航空系のいずれも落ち込んだ。1月までは好調だったが、コロナの影響が売上高を192億円、営業利益を130億円押し下げた。

関西エアの山谷社長は新型コロナの影響を「未曾有の事態」と話した(10日、大阪府泉佐野市)

関西エアの山谷社長は新型コロナの影響を「未曾有の事態」と話した(10日、大阪府泉佐野市)

苦境はいまも続く。4月の関空の旅客数は前年同月比97%減で、現在も政府は111カ国・地域を対象に入国を原則拒否している。「国内線は7月ごろから回復を期待するが、国際線はまだ見えない」(山谷社長)

16年に関空の運営に携わって以降、日本ではインバウンド(訪日外国人)ブームが吹き荒れた。ANAホールディングス傘下の格安航空会社ピーチ・アビエーションも関空を拠点にアジア路線を拡大。便数と免税品の2本柱が、関西エアの業績を押し上げた。

ところが新型コロナで訪日客が"蒸発"し、すべての歯車が止まった。一方で関空の運営権対価は支払いが続く。1年当たり約370億円という巨額が、実質的に事業停止状態に陥った関西エアに追い打ちをかける。

現預金は1280億円ありすぐに資金不足に陥るわけではないが、今後の設備投資に影響しかねない。1千億円規模の投資を計画する「第1ターミナルビルの改修や防災対応は見直さない」(山谷社長)とするが、そのほかの部分は聖域なく考え直すとした。

空港機能の強化が滞れば、地域経済に悪影響を与えるとみた地元経済界も支援に動く。関西経済連合会は8日、コロナ禍から経済を早期回復させるための政府・与党への要望を公表した。

関空の機能強化を進めるため「財政・税制・金融上の支援を求める」と記載。関西エアの個別事情にもかかわらず、運営権対価の支払いについても「柔軟な取り扱い」を求めた。2025年の国際博覧会(大阪・関西万博)などに備え、松本正義会長(住友電気工業会長)は「政府にも話して(関空の機能強化を)完成させていきたい」と強調する。

新型コロナウイルス禍で減った国際旅客の回復はいまだに見通せない(6月10日、関西国際空港第1ターミナル)

新型コロナウイルス禍で減った国際旅客の回復はいまだに見通せない(6月10日、関西国際空港第1ターミナル)

国際線ではアジア方面の旅客が8割を超え、直営免税店の売り上げも中国が4分の3を占める。大きく頼ってきたアジアからの訪日客が目の前から消えた。空港運営の受託から台風、コロナ禍と大きな逆風に相次ぎ見舞われた。企業としての利益だけでなく地域経済のけん引という役割も期待されるなか、民間運営空港の真価が問われる5年目となる。

■関西エアポート
オリックスと仏バンシ・エアポートを中核とし、2016年4月から関西国際空港と大阪国際(伊丹)空港を運営する。関空では国内で初めて民間企業に空港運営を委託する「コンセッション方式」が導入された。18年4月からは神戸空港もグループで運営する。
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