核軍縮高官協議、中国参加は見込めず 米ロ月内に開催

2020/6/10 18:12
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新START延長を巡る米ロの軍縮協議は進展が見られていなかった(2019年6月、大阪で開かれた米ロ首脳会談)=ロイター

新START延長を巡る米ロの軍縮協議は進展が見られていなかった(2019年6月、大阪で開かれた米ロ首脳会談)=ロイター

【ワシントン=中村亮、モスクワ=小川知世】米国とロシアは核軍縮を巡る高官協議を月内に開く。2021年2月に期限が切れる米ロの新戦略兵器削減条約(新START)の延長を議論するが、米国が招待した中国は参加を拒否したままだ。進展が望みにくいなか、米国は軍拡をちらつかせ、ロシアも核保有の指針の初公表でけん制する。軍縮協議が膠着すれば、駆け引きがいっそう激しくなりそうだ。

米ブルームバーグ通信によると、高官協議は22日にウィーンで予定する。米国のビリングスリー大統領特使(軍縮担当)は8日、中国も招待したと明らかにした。米政権は中国による核戦力の増強を警戒。米ロの核軍縮の枠組みに中国を加えるべきだと訴えている。

ただ中国の軍縮参加は見込めない。米ロに比べて核保有数が少ない中国は一貫して参加を否定してきた。中国外務省は9日「参加したくない。この立場は何度も表明した」とコメントした。ビリングスリー氏はツイッターで中国に再考を促したが、ロシアのリャプコフ外務次官は「近い将来に多国間の軍備管理ができる展望はない」と強調。中国の立場に理解を示すとともに、米国に対して無条件での新START延長を求める。

米国は軍拡を進める構えを見せて、中ロを揺さぶりたい考えだ。米メディアによると、トランプ政権は5月に核爆発を伴う核実験の是非を協議した。中ロに核軍縮を迫る材料になるとの見方があり、実施すれば1992年以来だ。米海軍は20年初めに潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)に爆発力を抑えた小型核を実戦配備した。核使用をちらつかせて抑止力を強化する狙いがある。

ロシアも米国へのけん制を強める。2日には核兵器保有の基本方針を定めた国家指針を初公表した。ロシアへの弾道ミサイル発射の確実な情報や、国やロシア軍の主要施設に対する敵の干渉があった場合に核兵器の使用を認めるなどと明記した。サイバー攻撃も核兵器を使った報復対象とされる可能性がある。

核指針の内容自体は10年に承認した非公表の従来指針から大きく変わっていないとの見方が強い。公表に踏み切ることで核保有の立場を明らかにし、米国に軍縮協議を促す思惑もありそうだ。指針は「核兵器は抑止の手段」とし、核戦力で他国を優越することは目指さないとの立場も示した。

米ロ間の軍縮条約は新STARTの延長が見送られれば消滅する。19年には米ロの中距離核戦力(INF)廃棄条約が失効した。ロシアは欧州やアジアへの米国による中距離ミサイル配備に警戒を強め、核抑止で対抗する姿勢も示唆する。

本格的な軍拡競争に陥るのは避けたい本音は米ロともに共通する。新型コロナウイルスで経済が打撃を受け、軍備増強に巨額を割く余地は狭くなっている。軍縮協議が平行線をたどり、21年2月の新START期限を前に米ロの攻防が激化すれば、欧州やアジアでも安全保障に対する懸念がさらに強まりそうだ。

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