名古屋城望むホテル、富裕層狙い建て替え 24年度再開

2020/6/10 18:30
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ホテル運営のナゴヤキャッスル(名古屋市)は10日、「ホテルナゴヤキャッスル」を9月末に閉館すると発表した。跡地に新しいホテルを建設し、2024年度をめどに再び開業する。開業から50年以上が経過し、設備の老朽化が目立っていたことから建て替えに踏み切る。名古屋市内では栄地区を中心にホテルの整備計画が相次いでおり、競争が一段と激化しそうだ。

ホテルナゴヤキャッスル(名古屋市西区)

ホテルナゴヤキャッスル(名古屋市西区)

親会社の興和(同)は、20年3月期の連結決算で、建て替え工事に向けた解体の費用を特別損失として計上した。同社は過去に、部屋数を大幅に減らしながら、スイートルームを中心とした高級ホテルに建て替える構想を明らかにしていた。「新ホテルの概要は、発表できる時期に公表したい」(ナゴヤキャッスル)としている。

中部地方では、海外の富裕層らが利用する高級ホテルが少ないとの指摘があり、愛知県と名古屋市は高級ホテルの誘致に力を入れていた。所定の条件を満たした高級ホテルの新設・建て替えにかかる経費に対し最大20億円の補助金を出す制度を県市が連携して新設した。高級ホテルの誘致を前提としたビルを建設する際、市は容積率を緩和する特例も設けた。

名古屋市中心部の栄地区ではホテルの建設計画が相次ぐ。名古屋テレビ塔(同)は塔内の4~5階のフロアにスイートルームを備えたホテルを入居させる。三菱地所などは、26年完成を目指して栄地区で整備する200メートルの高層ビルに外資系高級ホテルを誘致する。

足元では新型コロナウイルスの影響でインバウンド(訪日外国人)需要が激減している。ただ、各社はコロナ禍が収束し観光需要が戻ることを想定し、競争に向けた準備を進める。ナゴヤキャッスルは、観光名所の名古屋城が目の前にあるという立地の優位性を集客に生かしたい考えだ。

一方、9月末で閉館するホテルナゴヤキャッスルの魅力の1つは、宴会場で現在も売上高の約6割が宴会関連で占めている。小規模から大規模なものまで11室あり、企業のミーティングや国際会議まで幅広く利用されてきた。

特に「天守の間」は中部地方で最大とされており、3000人の収容が可能だ。広さは2000平方メートルにも及ぶ。中部経済連合会の幹部や愛知県知事らが参加する新年の賀詞交換会の開催など、地元を中心とした政財界の関係者に愛用されてきた。同規模の収容能力を備えた宴会場が名古屋市内を含め中部にないことから、大規模な宴会やイベントの開催に影を落としそうだ。

■展望エレベーターや大宴会場 50年の歴史に幕


 ホテルナゴヤキャッスルが開業したのは高度経済成長期の1969年だ。現在では当たり前となったガラス越しから景色を見渡せる展望エレベーターの設置は日本初の試みだったとされる。88年には天守の間が開業した。
 国の特別史跡である名古屋城天守閣が展望できる客室やレストランも人気を集めた。2005年の愛・地球博における海外の要人ら、国内外の富裕層から宿泊先として選ばれてきた。
 運営会社ナゴヤキャッスルは1997年、米ホテル大手、マリオット・インターナショナルの前身の会社とフランチャイズチェーン(FC)契約を結んだ。2000年に名称を「ウェスティンナゴヤキャッスル」に変更し高級路線を推し進めた。客室やロビーを改装し、海外ネットワークを活用してインバウンド(訪日外国人)を取り込んだ。「サービスや誘客のノウハウを十分に得た」(ナゴヤキャッスル)としてFC契約を終了し、18年に名称をホテルナゴヤキャッスルに戻した。
13年には医薬品大手の興和が運営会社を子会社化した。興和は名古屋観光ホテル(同市)を1999年に子会社にするなど、ホテル事業の拡大を進めていた。
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