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まるで旅行 ライブカメラで楽しむ自然公園の絶景10選

全国各地の風光明媚(めいび)な自然公園。自宅でもライブカメラを通じて景色を楽しめる。写真や旅などの専門家12人がベストスポットを選んだ。

1位 穂高連峰 中部山岳国立公園

 1010ポイント
雄大な山並みと渓谷美

日本を代表する山岳景観を誇る中部山岳国立公園の展示施設「上高地ビジターセンター」の屋根に設置されたライブカメラ。

正面には氷河によってU字型にえぐられたカール地形の岳沢(だけさわ)が広がり、背後に穂高連峰で最も高い奥穂高岳(3190メートル)、右に明神岳、左に西穂高岳が控える。雄大な山並みと渓谷美が見どころ。

今回取り上げた地点はいずれもウェブサイト上で好みの年月日、時間の映像を遡って検索可能。穂高の地点は「山岳風景の定番カメラアングル。背景の穂高と前景の四季折々の豊かな変化が見る者を飽きさせない。カメラの画像もシャープで見応えがある」(板見浩史さん)と高い評価。川井靖元さんは「カラマツなどの林の上に奥穂高岳の雄姿、下に岳沢の雪渓が見られる。6月の晴れた日の新緑越しの穂高は特によい。10月にはカラマツが黄色く鮮やかさを増し、趣がある」と見ごろを挙げる。

「上高地から眺める穂高は格別。運がいいと山肌が朝日に染まる現象『モルゲンロート』も見られる」(井上嘉代子さん)という。

(1)https://www.sizenken.biodic.go.jp/view_new.php?no=93(2)撮影日 2020年6月8日(3)カメラ所在地 長野県松本市

2位 旭岳 大雪山国立公園

 680ポイント
道内最高峰の絶景

「北海道の尾根」とよばれる山岳地帯にある大雪山国立公園内にあるカメラ。大雪山旭岳ロープウェイ姿見駅の建屋に設置され、映像は現地で見る雄大な風景そのもの。道内最高峰の活火山である旭岳(2291メートル)が厳冬期の夕日に染まる姿は絶景という。

「旭岳を画面の右側に配置し、スケール感、パノラマ感が伝わる構図で見やすい」(GOTO AKIさん)、「9月ごろに日本で最も早いとされる紅葉が楽しめる。冬は雪の風紋も観察できる」(大島正美さん)

(1)https://www.sizenken.biodic.go.jp/view_new.php?no=108(2)20年2月8日(3)北海道東川町

3位 山麓からみた富士山 富士箱根伊豆国立公園

 550ポイント
地上30メートルから眺める山容

富士山を中心とした湖沼や高原、箱根地域、伊豆半島地域などからなる富士箱根伊豆国立公園。カメラは環境省が森林生態系の観測のために山梨県富士登山道吉田口近くに設けた鉄塔の地上約30メートルにある。周囲は人がめったに来ない場所といい、富士山の雄大さを身近に感じられる。

山口勝広さんは「秀麗な富士は四季折々美しい山容が人を魅了する。雪解けの初夏、偏西風に雪が飛ばされ、鳳凰(ほうおう)の形が北麓斜面に現れるのは見逃せない」と変化し続ける富士山の見どころを紹介する。「絵に描いたような美しい富士山の姿を見ることができる。山頂にかかるさまざまな雲の名称を調べるのも楽しい」(日下部かおりさん)という

(1)https://www.sizenken.biodic.go.jp/view_new.php?no=117(2)18年8月16日(3)山梨県富士吉田市

4位 浄土ケ浜 三陸復興国立公園

 380ポイント
白い岩が林立 陰影の妙

三陸復興国立公園内の観光施設「浄土ケ浜レストハウス」(宮古市)に設置。現地で同じ風景を見ることができる。鋭くとがった白い流紋岩が林立する浄土ケ浜独特の景観が楽しめる。浄土ケ浜の名前は江戸時代の僧、霊鏡竜湖(れいきょうりゅうこ)が漢詩で極楽浄土のようだと詠んだことから付いた。

「連なる岩の構図がいい。明け方は空のグラデーションと島のシルエットの重なりがきれい」と松尾喬さん。「東日本大震災で被災した浄土ケ浜だが、カメラでは元通りになっているのが見える。季節によって午後の順光で白い岩が輝いて見えるのがいい」(湯浅陽介さん)という。(1)https://www.sizenken.biodic.go.jp/view_new.php?no=116(2)19年9月7日(3)岩手県宮古市

5位 田貫湖畔からみた富士山 富士箱根伊豆国立公園

 340ポイント
朝日背負う姿 神々しく

3位と同じ国立公園内にある宿泊施設「休暇村富士」の外階段に設置。林越しに見える田貫湖と朝日を背負った神々しい富士山の威容が見られることもある。

「田貫湖から眺める富士山は日本を代表する絶景」(安田正英さん)で「1~2月の朝7時すぎの晴天日に富士山から昇る朝日がお薦め」(井門隆夫さん)。「木々の間から雲の状態により見え隠れする富士山の撮影角度がいい」(鳴海鼓大さん)との評価が並んだ。山頂が朝日で輝くダイヤモンド富士は露出などの関係で見るのは難しそう。

(1)https://www.sizenken.biodic.go.jp/view_new.php?no=43(2)20年1月30日(3)静岡県富士宮市

6位 摩周湖 阿寒摩周国立公園

 330ポイント
神の山と湖 織りなす美観

摩周湖第一展望台レストハウスの屋上に設置。右にアイヌ語でカムイヌプリ(神の山)と呼ばれる摩周岳(857メートル)、左に登山で人気の斜里岳(1547メートル)を望む。朝日と摩周湖の織りなす美観は格別。

「山が雪を抱き、木々に霧氷が光る季節は至福の時間」(山口さん)。「現地では霧で見ることができなかった湖もライブカメラでリベンジできる」(井門さん)。

(1)https://www.sizenken.biodic.go.jp/view_new.php?no=107(2)20年1月8日(3)北海道弟子屈町

7位 知床半島 知床国立公園

 320ポイント
連なる山々 圧倒的迫力

知床国立公園は2005年に全域が世界自然遺産に登録された。カメラはその外側の羅臼国後展望塔から公園を望む。知床半島最高峰の羅臼岳(写真左、1661メートル)など1000メートルを超える山々が連なる。

「山が重なる構図、雪景色も魅力」(松尾さん)。「秋の紅葉、厳冬の荒々しくも美しい姿も見どころ」(井上さん)。

(1)https://www.sizenken.biodic.go.jp/view_new.php?no=74(2)20年5月31日(3)北海道羅臼町

8位 阿蘇根子岳 阿蘇くじゅう国立公園

 300ポイント
ギザギザの山頂 荒々しく

根子岳は阿蘇五岳のひとつで山頂付近の荒々しい山容が特色。カメラは阿蘇カルデラ南部に位置する「休暇村南阿蘇」の屋上にある。

「頂上部のギザギザと変化する空、下半分の木々のバランスが幻想的」(鳴海さん)で「夜明けの光を受けて山が赤紫に染まる様子が美しい」(GOTOさん)。

(1)https://www.sizenken.biodic.go.jp/view_new.php?no=58(2)18年1月13日(3)熊本県高森町

8位 吉野山からみた桜と町並み 吉野熊野国立公園

 300ポイント
日本屈指の名所 独り占め

日本屈指の桜の名所の山道の鉄柱に設置。春には山桜と里山、町並みが調和した見事な景観が見られる。

「山麓から順に開花する様が見られる」(大島さん)。「手前に枝が写る構図により開花状況が1日単位でわかる」(板見さん)。「11月の紅葉もよい」(川井さん)。

(1)https://www.sizenken.biodic.go.jp/view_new.php?no=122(2)20年4月11日(3)奈良県吉野町

10位 京都御苑 国民公園

 240ポイント
池に映える書院造り

今回取り上げたカメラのなかで唯一、国民公園にある。京都御苑は京都御所を含む約65ヘクタールの公園。カメラはみやびな数寄屋風書院造りの「拾翠亭(しゅうすいてい)」を捉える。藤原五摂家の一つ、九条家が江戸時代に所有し、茶会などに使われた。

「水面に鏡のように映る景色がきれい」(日下部さん)。夏には画面右のサルスベリも満開になる。「11月は紅葉が鮮やか」(川井さん)。

(1)https://www.sizenken.biodic.go.jp/view_new.php?no=123(2)19年9月10日(3)京都市

お気に入りの風景探そう

インターネット自然研究所は年や日、時間を指定してベストショットを探すことができる

自然公園など全国69カ所(停止中含む)のライブカメラの映像が見られるウェブサイト「インターネット自然研究所」は、環境省が自然情報を提供するために2001年に公開した。原則1時間おきの静止画を閲覧できる。「時間別」「日別」「年度推移」などの検索機能を使えば、過去の画像も細かく検索・比較できる。カメラが置かれている施設の休館や点検などで最新画像が見られないときは日時を変えてみよう。

ちなみに全国の自然公園には、国が指定・管理する国立公園(34カ所)、国が指定・都道府県が管理する国定公園(57カ所)、都道府県が指定・管理する都道府県立自然公園(311カ所、20年3月現在)がある。中でも国立公園は日本を代表する「傑出した自然の風景地」となっている。

自治体や民間が設置したライブカメラは全国各所にある。動画の公開も多い。自分だけのお気に入りの風景を探してみよう。

ランキングの見方

 ライブカメラから見える風景。数字は専門家の評価を点数化。(1)はURL、(2)はメイン写真の撮影日、(3)はカメラを設置した市町村。写真は環境省生物多様性センターと現地事務所の意見を参考に編集部が選んだ。

調査の方法

 環境省の「インターネット自然研究所」で閲覧できる全国の自然公園など、69カ所のライブカメラの中から「旅行気分が味わえる」を条件に、専門家への取材をもとに30カ所をリストアップ。写真と旅行、ライブカメラに詳しい専門家にお薦めを1~10位まで選んでもらい、編集部で集計した。取材時点で稼働中のカメラが対象。

今週の専門家

 ▽井門隆夫(高崎経済大学教授)▽板見浩史(日本フォトコンテスト協会代表理事)▽井上嘉代子(風景写真家)▽大島正美(キヤノンマーケティングジャパン)▽川井靖元(日本山岳写真協会副会長)▽日下部かおり(JTBガイアレック)▽GOTO AKI(写真家・日本自然科学写真協会会員)▽鳴海鼓大(ライブカメラ販売大手システム・ケイ社長)▽松尾喬(NPO法人フォトカルチャー倶楽部理事)▽安田正英(風景写真家)▽山口勝広(日本旅行写真家協会会長)▽湯浅陽介(山と渓谷社「ヤマケイオンライン」運営担当)=敬称略、五十音順

(堀聡)

[NIKKEIプラス1 2020年6月13日付]

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