ちゃんみな・milet ストリーミングで躍進の女性ソロ
音楽を聴く手段がCD以外にも増え、どんどん多彩になるなかで、様々なところからヒットの芽が生まれている。例えばあいみょんは、ブレイクを果たす前からストリーミングの再生数が高く、米津玄師はミュージックビデオの再生数が際立っていた。

そこで、CDやダウンロードのランキングから女性ソロアーティストの人気を計った「あいみょんが圧倒的 女性ソロアーティストセールス」に引き続き、今回は「ストリーミング」「ミュージックビデオ」に着目。そこで既に実績を残し、今後ブレイクを果たしそうな、若手女性ソロアーティストを見ていこう。
定額制音楽聴き放題サービスのストリーミングは、思い立った時にすぐ曲を聴けるというのが大きな特徴。そのため、アーティストは何か話題がある度に、再生数が伸びる傾向にある。
1位のあいみょん『マリーゴールド』に続いたのが、2017年にメジャーデビューした女性ラッパー・ちゃんみなだ。昨年発売した2ndアルバムのタイトル曲『Never Grow Up』は、TikTokで多くの若者のダンス動画に使われ、再生数が一気に急増した。


3位はシンガーソングライターmilet(ミレイ)。昨年デビューし、『us』がドラマ『偽装不倫』の主題歌に抜てき。しかもデビューからのわずか1年で5枚のミニアルバムをリリースするなど、積極的な活動を展開する。「ダウンロード」でもデビュー曲の『inside you』が3位に入っており、複数の楽曲が人気を集める、ブレイク最右翼の1人だ。
同様に、ドラマ『テセウスの船』の主題歌『あなたがいることで』が5位に入ったUruも「ダウンロード」で2位に入っている。
美波・ずっと真夜中でいいのに。はアニメで世界観
ネット上に上がっているミュージックビデオは、誰でも無料で視聴できるため、新たなファン層にリーチしやすい。映像をきっかけとしたヒットが増えていることもあり、最近はバージョン違いのビデオを作るアーティストも出てきた。

トップはここでもあいみょんの『マリーゴールド』。だが、2位以降には、ここまでのランキングでは上位に入らなかったブレイク候補が並ぶ。特に注目すべきは、トップ10のうち、2位~4位と8位の計4曲が、アニメーションで作られたミュージックビデオであるということだ。なかでも2位~4位のアーティストは基本的にビジュアルを表に出しておらず、作り込んだアニメーションに、楽曲だけでなくアーティスト本人の世界観も詰め込んでいる。
2位の美波は、19年にデビューしたシンガーソングライターで、ライブ以外では顔を出していない。心の内をさらけ出したような歌詞を乗せたロックサウンドが特徴で、5500万回を突破する『カワキヲアメク』は、アニメ『ドメスティックな彼女』の主題歌。同名のミニアルバムはオリコン週間デジタルランキングで1位も獲得した。
3位となった、ずっと真夜中でいいのに。は、デビュー前の18年6月に、『秒針を噛む』のミュージックビデオをYouTubeに投稿して活動を開始。ロック、ポップ、ジャズを自由に行き来するサウンドとアニメのクオリティーの高さに「一体これ誰なの?」とネットを中心に盛り上がり、その後11月にデビューを果たした。
4位のコレサワは、17年にデビューした、失恋ソングを得意とする、覆面シンガーソングライター。『たばこ』は同棲から破局を迎えたカップルのリアルな歌詞が、アニメーションに映える1曲だ。
また8位のナナヲアカリは、社会不適合をテーマにした楽曲で人気を集める。『インスタントヘヴン』では人気シンガーのEveとコラボ。アニメのミュージックビデオは、ライブでVJ担当のスタッフに発注することで、世界観を統一している。
(ライター 中桐基善)
[日経エンタテインメント! 2020年6月号の記事を再構成]
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