5月の工作機械受注、前年比52%減 コロナの影響鮮明

2020/6/9 18:45
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新型コロナウイルスが設備投資を一段と冷え込ませている。日本工作機械工業会(日工会)が9日に発表した5月の工作機械受注額(速報値)は前年同月比52.8%減の512億円だった。前年割れは20カ月連続で、下落率は4月(48.3%)よりも広がった。自動車や航空関連の需要が減り、日本や欧米での営業活動も滞り続けている。

工作機械の受注額は好不況ラインの月間1千億円を大きく下回っている

工作機械受注は景気の先行指標となる。1カ月の受注総額1千億円が好不況のラインとされるが、4月以降は500億円台に落ち込んでいる。5月の受注で全体の6割を占める外需は前年比49.8%減の330億円。中国向けは回復傾向だが、感染終息に時間がかかっている欧米向けの不振を補えていないようだ。

オークマは「中国の顧客は投資に前向きで、受注は前年を上回り始めている。足元では油圧機器向けが好調で、公共工事に使われる建機需要が伸びているとみられる」と話す。ただし「欧州はまだ先が見えてこない状況」という。ツガミも「欧米の受注の動きはかなり乏しい」という。欧米では依然として顧客を訪ねる営業活動は難しい状況が続いているようだ。

内需は前年比57.4%減の182億円だった。自動車関連に強いジェイテクトは「顧客の計画変更が多発し、受注がずれ込んでいる」と明かす。一方で、工作機械メーカー関係者は「東京エレクトロンに代表されるような半導体製造装置メーカーが投資を検討している」と話す。コロナ後を見据えた投資計画も一部で進んでいるようだ。

今後の受注見通しについてDMG森精機の森雅彦社長は「3~5月が底になる」と、6月以降の回復に期待する。ツガミの西嶋尚生会長は「底ばいの調整が長引いている。政府の下支えで投資が活発にみえる中国も米中摩擦がくすぶり始めている。欧米が徐々に回復し、一進一退の構図になりそうだ」とみている。

各社は米大統領選にも注目している。大統領選は一般的には景気のプラス要因として働くが、トランプ大統領は新型コロナや香港を巡って中国と激しく対立する姿勢を示している。工作機械業界は今後も米中に翻弄されることになりそうだ。

(山中博文)

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