二輪車市場に復調の兆し コロナ禍で脱・3密の移動に

日経ビジネス
2020/6/11 2:00
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3密を避ける交通手段としてバイクが見直されつつある(ホンダが2月に発売した小型スクーター「ADV150」)

3密を避ける交通手段としてバイクが見直されつつある(ホンダが2月に発売した小型スクーター「ADV150」)

日経ビジネス電子版

コロナ禍で自動車の販売が大打撃を受ける中、二輪車市場に復調の兆しが出ている。全国軽自動車協会連合会によると、2020年4月の軽二輪車(125cc超250cc以下)の新車販売は前年同月比2.0%増の7772台。4カ月連続で前年同月比プラスとなった。19年10月の消費増税後の落ち込みからの反動という側面もあるが、公共交通機関に代わる「脱・3密」の移動手段として、通勤や通学に使うニーズが拡大しつつあることも背景の1つにある。

原付一種(50cc以下)なども含めた今年3月の国内二輪4社の二輪出荷台数も前年同月比7.3%増の3万6800台と好調だった。国内での工場稼働停止や生産調整が本格化する前だったこともあり、3年ぶりに前年同月を上回った。4月は同11.4%減となったものの、四輪車と比べれば落ち込み幅は限定的だ。

復調の鍵をにぎるのは排気量50cc超のモデルだ。日本自動車工業会によると、19年度(18年4月~19年3月)の原付二種(51cc~125cc)以上の出荷台数は20万2134台。09年度にリーマン・ショックの影響で13万5000台に落ち込んで以降、久しぶりに年間20万台を超えた。二輪各社はここ数年、グローバルに人気のある125ccモデルに注力。さらに、18年7月に道路交通法施行規則が改正されたことで、従来は最短3日必要だった「AT小型限定普通二輪免許」の技能教習が2日で修了可能になったことも後を押し、需要は底堅く推移していた。

一方、排気量50cc以下のいわゆる「原付き」は、08年度に年間約30万台だった国内出荷台数が19年度には約13万台と半分以下に減少。原付き離れに歯止めがかからない状況となっている。

理由の1つが速度制限だ。原付一種では法定最高速度が時速30kmだが、50cc超では時速60kmで走ることが可能。そのため、街乗りのコンパクトさと長距離移動の安定感を兼ね備えた125ccクラスのサイズ感が人気を集める。例えば、スズキの「アドレス125」は「通勤快速」というニックネームでも知られている。コロナ後のニューノーマルでも通学・通勤の手段として、さらには需要が急増する宅配にも適したモデルとして、小回りの利くバイクの存在感が高まりそうだ。

■海外旅行に代わるレジャーに

先進国では市場が成熟し、販売台数の大きな伸びが期待できなかった二輪車。ただコロナ禍により、別の角度からも二輪車に注目が集まっている。

5月29日、ヤマハ発動機の20年1~3月期の決算発表に登壇した日高祥博社長は「米国ではロックダウン解除後、ダートバイクや四輪バギーなどの販売が前年比プラスまで急速に戻ってきた」と明かした。ダートバイクは、山道など未舗装の悪路を走って楽しむレジャー向けのバイク。海外旅行ができない富裕層が国内で楽しめるアウトドアのレジャーとして、需要が高まっていることが背景にあるという。

新型コロナウイルスによって、にわかに追い風が吹く二輪車。ただ、主戦場であるインドや東南アジアでは工場の稼働停止や販売店の一時閉鎖、経済低迷の影響が大きく、持ち直しに時間がかかりそうだ。グローバルの全体需要では、5~6月を販売台数減の底と見る向きもある。新興国の市場回復と先進国での新たな需要開拓。その両輪がうまく回れば、新たな成長のステージが開けるかもしれない。

(日経ビジネス 橋本真実)

[日経ビジネス電子版2020年6月9日の記事を再構成]

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