日清食品HD、再エネ導入などでCO2を3割削減へ

2020/6/9 16:38
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日清食品ホールディングスは9日、二酸化炭素(CO2)や廃棄物の削減を目指す環境戦略を発表した。再生可能エネルギーの導入や容器の省エネ化などを進め、2030年のCO2排出量を18年と比べて3割減らすのが目標。ESG投資などで環境への取り組みが企業価値を左右する傾向が強まっており、具体的な数値目標を掲げて全社的な取り組みを加速する。

オンライン会見する日清食品HDの安藤宏基社長

生産を効率化しCO2の削減を進める日清食品の関西工場(滋賀県栗東市)

「環境問題は、企業として積極的に取り組むことが当たり前の時代になった」。安藤宏基社長はオンライン記者会見でこう強調した。同社が長期の環境戦略を策定するのは初めて。名称は「アースフードチャレンジ2030」。安藤社長は「今後10年かけて、長期の問題と位置づけて積極的に取り組む」と述べた。

日清食品のグループ全体でのCO2の排出量は18年段階で41万6000トン。今後、何も手を打たなければ30年には53万7000トンまで増える見通しという。これを29万1000トンまで減らす。

具体的な行動の柱は3つある。(1)電源構成の変化(2)省エネ活動(3)再生可能エネルギー――だ。

まず電源構成の変化で約10万トンの削減を目指す。調達する電力のうち非化石電源の比率を高めるため、再生可能エネルギーを使った電力会社からの調達などを進める。

省エネ活動では生産過程を効率化し、約7万トンの削減につなげる。工場の設備や照明などを順次、省エネ性能が高い機器に切り替えていく。

再生可能エネルギーでは太陽光パネルの設置を増やし、ごみとなる容器を使った発電も始める。カップ麺の容器は油汚れでリサイクルできない場合も多い。ごみの焼却時に生まれる電力を本社で使用するなど、社内の「電力循環」を進める。

容器や食材でも環境負荷の低減に努める。カップヌードルの容器でサトウキビ由来の植物性樹脂であるバイオマスポリエチレンの利用を拡大しており、21年度までに完全に切り替えてプラスチックの使用量を減らす。

食材でも植物由来を増やす。カップヌードルの具材で「謎肉」とも呼ばれる大豆ベースの「代替肉」は、同量の牛肉を生産する場合と比べてCO2排出量が12分の1で済むという。こうした代替肉の利用を広げて、CO2削減につなげる。

将来に向けた技術開発にも積極的に取り組む。日清HDは19年3月に東京大学と連携し、牛肉由来の細胞からサイコロステーキ状の筋繊維を世界で初めて作成した実績がある。これまで培養肉はシート上の薄い肉しか実現できておらず、同社は培養肉で世界のフロントランナーともいえる。

「培養肉の環境問題への貢献は大きい。いずれは豚やマグロなど別の食材にも広がっていく」。培養肉の研究責任者である田中充常務執行役員は、こう意気込む。現状の培養肉は1センチメートル角にとどまる。5年後をめどに縦横7センチメートル、厚さ2センチメートルとステーキ状の培養肉を生産することが目標だ。

ESG投資は世界で広がっており、ESG関連銘柄や投資信託には多くの資金が流入している。日清HDは安藤社長を委員長として「サステナビリティ委員会」を設立し、目標の実現へ進捗を確認する体制も整えた。

安藤社長は「環境への取り組みを評価して投資していただければありがたい」と話す。地球環境への貢献と企業価値の向上を両立させることが最終的なゴールとなる。

(逸見純也)

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