老舗旅館を再オープン、日帰りとビジネスで 山形・上山

2020/6/9 18:35
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20日に新業態の旅館として再オープンする材木栄屋(山形県上山市)

20日に新業態の旅館として再オープンする材木栄屋(山形県上山市)

山形県上山市のかみのやま温泉で老舗旅館が新業態の宿泊施設として再オープンする。山形市などで不動産事業を手掛ける横田商事(川崎市)が4億円を投資。ビジネス客向けにシングルルームを設けるほか、旅館と分離した日帰り入浴用施設もつくる。新型コロナウイルスの影響は避けられないが、当初予定した20日にオープンし、新規需要を開拓する。

「温泉街にもかかわらず広い駐車場を確保でき、新たな旅館として再生できる」と語るのは横田商事の横田隆義社長。本社は川崎市にあるが、山形市で商業ビルや駐車場を経営、県内2カ所でホテルも運営する。2年前に営業をやめた材木栄屋旅館を地元金融機関に紹介され、「ステイインホテルズ材木栄屋」として再開業することにした。

1921年に創業した旅館のうち、宴会場だった鉄筋コンクリートの建物は解体。大正時代の建物をいかした12室と温泉付き2室のほか、シングルルームに改造した21室の旅館に改装した。

21室はビジネス客向けのシングルルームに改装(山形県上山市)

21室はビジネス客向けのシングルルームに改装(山形県上山市)

シングルは5000円程度で朝食付き。横田社長は「ビジネスホテルは浴場付きが人気。近隣に工業団地もあり源泉かけ流しの温泉は強みになる」とし7割以上の稼働を見込む。温泉付きなどの和室は観光需要が主体となるが、夕食は蔵を改装したレストランや近隣の飲食店を利用してもらい、運営スタッフは以前の26人から10人に減らす。

大きな特徴は一人450円の日帰り入浴施設を併設することだ。玄関を別に作り、専用の靴ロッカーや休憩室を設ける。宿泊客とは動線を分け、もともとあった空き地を利用して100台以上の駐車場も確保でき、日帰り客を積極的に受け入れることができる。

500年以上の歴史があるかみのやま温泉は複数の温泉街で構成される。材木栄屋がある新湯地区は約100年前に温泉街ができて一時は栄えたが、現在は旅館の閉館が相次ぎ空洞化が進んでいる。ただ、歴代の皇族も利用した「ニュー村尾浪漫館」の建物の活用について、上山市が6月議会に調査費を提案するなど新たな動きも出ている。

コロナの中で再開業に踏み切った横田商事の横田隆義社長(日帰り入浴施設の休憩室)

コロナの中で再開業に踏み切った横田商事の横田隆義社長(日帰り入浴施設の休憩室)

新旅館を切り盛りする酒井康吉さん(36)と美保さん(35)の夫婦はもともと材木栄屋の五代目。康吉さんは「新しいかたちで再開できてよかった。地物が中心の朝食定食をビジネスの人にも楽しんでほしい」と語る。

コロナの影響で当面は予約も見込めず、金融機関に返済開始時期を遅らせてもらうなど対応を進めてきた。前身の旅館が開業したのはスペイン風邪が流行した直後だけに、横田社長は「100年前も大変だったはず。当面は地元や近県の需要から徐々に広げていきたい」と長期戦の構えだ。

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