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北朝鮮、韓国に連日の圧力 金与正氏が主導

(更新)

【ソウル=恩地洋介】北朝鮮が韓国政府に連日、圧力をかけている。脱北者団体が体制批判ビラをまいたことへの報復として、9日には首脳間のホットラインを含む当局間の通信回線を遮断した。金与正(キム・ヨジョン)朝鮮労働党第1副部長が主導している。緊張を演出し、経済支援などを引き出す思惑もありそうだ。

北朝鮮は9日、開城(ケソン)にある南北共同連絡事務所と軍当局間の通信回線、朝鮮労働党中央委員会本部と韓国大統領府を結ぶ直通電話を遮断した。韓国側が連絡を試みたが通じなかった。9日の朝鮮中央通信はこれらの措置を「第1段階の行動」と呼び、今後も他の報復が続くことを示唆した。

報道によると、対応を決めたのは金英哲(キム・ヨンチョル)朝鮮労働党副委員長と金与正氏。8日の会議で「対南事業を対敵活動に転換する」と打ち出し、段階別の活動計画を審議した。金与正氏は4日の談話で、開城工業団地の完全撤去や、軍事境界線付近の緊張緩和をうたった軍事合意の破棄にも言及した。

北朝鮮は韓国の脱北者団体が5月末、大型風船を使って50万枚のビラを飛ばしたことを問題視している。ビラには「偽善者金正恩(キム・ジョンウン)!」などと記されていたことから、北朝鮮側は「最高の尊厳をけなし、全ての朝鮮人民を敵視した」と反発した。

朝鮮労働党機関紙「労働新聞」は、各地で開いた抗議集会の様子などを詳細に伝えている。8日付の紙面では「南朝鮮(韓国)当局は最悪の局面を予測しなければならない。北南関係の総破綻もあり得る」と警告した。

北朝鮮指導部の狙いは定かではないが、韓国との間で緊張状態をつくり出し、要求を引き上げる手法は常とう手段といえる。

停滞している南北経済協力の再開へ文在寅(ムン・ジェイン)政権を突き動かす狙いや、夏以降の米韓合同軍事演習を中止に追い込む思惑との見方がある。文大統領にとって、南北融和の重要な成果である軍事合意などを損なうことの打撃は大きい。

他方、一連の脱北者問題が労働新聞に掲載されていることから、内部でくすぶる不満を韓国たたきに転嫁しているとの分析もある。

北朝鮮は1月下旬、新型コロナウイルスの流入を防ぐため中国との境界を完全封鎖した。韓国のシンクタンクによると、これ以降の対中貿易額は前年同期比で9割減った。金正恩委員長は7日の党政治局会議で、食糧増産に必要な肥料の生産向上や、党幹部らが住む平壌市の生活保障に言及しており、経済は深刻な状況にあると専門家はみている。

韓国政府は4日に北朝鮮から非難を受けた直後に、ビラ散布を禁止する法律を整備すると表明した。大統領府は北朝鮮側の出方を見極めており、9日の段階で公式的なコメントを避けている。

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