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ミャンマー西部で国軍と少数民族衝突 港湾建設遅れも

【ヤンゴン=新田裕一】ミャンマー西部のラカイン州で同国に多い少数民族武装勢力の一つ、アラカン軍と、国軍や警察との衝突が相次いでいる。同国政府がアラカン軍をテロ組織に指定し、停戦を国軍が拒んでいるためだ。インド洋に面する長い海岸線を持つラカイン州はミャンマー政府が重点的に開発している。戦闘が長引けば工業団地、港湾などの整備計画が遅れる可能性もある。

アラカン軍との衝突を巡り、アウン・サン・スー・チー国家顧問は「国軍に敬意を表する」と発言した

アラカン軍は仏教徒ラカイン族主体の武装勢力。自治権の拡大を求めている。5月29日にはラカイン州北部の農村地帯にある警察部隊の駐屯地を襲撃した。警察官4人を殺害し、民間人3人を含む9人を拉致した。国軍司令部によると襲撃には約100人が加わった。

アラカン軍は同日の声明で「(国内多数派の)ビルマ族主導の統治は認めない」と主張し、ラカイン州からの国軍や政府関係者の撤収を求めた。

ミャンマー政府は3月、アラカン軍を「テロ組織」に指定した。国軍は5月上旬、新型コロナウイルス対策のため8月末までほかの少数民族武装勢力とは停戦すると宣言した。だが、アラカン軍との戦闘は続けている。

米政府系のラジオ自由アジア(RFA)によると、2019年以降、戦闘で250人以上の民間人が死亡。6万~7万人が住む家を追われた。

ミャンマー政府の事実上のトップであるアウン・サン・スー・チー国家顧問兼外相はこれまでに、アラカン軍を非難したうえで「命懸けで国民を守っている国軍に敬意を表する」という内容の声明を発表している。

アラカン軍は17年に国軍がラカイン州で実施した掃討作戦でイスラム系少数民族ロヒンギャの大半が隣国バングラデシュに逃れたことで、勢力を拡大した。国連安全保障理事会は5月中旬、ラカイン州の情勢について非公開協議を開いた。要請した英政府は「新型コロナ対策を優先するため衝突を停止すべきだ」と主張した。

ラカイン州は南北に延びる長い海岸線が特徴だ。ミャンマー政府はインドや中国の支援を得て港湾や道路、工業団地を整備する計画がある。印中を含めたサプライチェーンを構築しようとしている。ラカイン族は外資を歓迎するが、中央政府の主導では恩恵が地元に行き渡らないと不満を強めているもようだ。

ラカイン族は15~18世紀に「アラカン王国」を築いていた。アラカン軍の兵力は7千~1万人と推定され、麻薬取引などへの関与も疑われている。北部の対中国境地帯の武装勢力の支援を受けて発足した。19年から国軍や警察への襲撃が目立つようになった。

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