娯楽施設、「大入り」遠く ステップ2から1週間

2020/6/9 9:53 (2020/6/9 13:54更新)
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客席の間隔を空けて再開した寄席(1日、東京都台東区の浅草演芸ホール)

客席の間隔を空けて再開した寄席(1日、東京都台東区の浅草演芸ホール)

新型コロナウイルスに関する東京都の休業要請緩和が「ステップ2」に進み、都内で多くの劇場や映画館が営業再開して1週間がすぎた。娯楽施設の再開は日常生活の回復を実感できる一歩だが、警戒警報「東京アラート」が発動されるなか、大入りにはほど遠い。各施設は客席を減らしたり、オンライン配信したりと「新常態」での営業方法を模索している。

「マスクは外さずお笑いください」。1日に約2カ月ぶりに営業再開した「浅草演芸ホール」(台東区)は館内にこんな張り紙を掲げ、来場客にマスク着用を呼び掛けている。

感染拡大を防ぐための「新しい生活様式」に沿って休憩を増やし、ホールの扉を開け放して換気する。「ソーシャルディスタンス」確保のため、前後左右の席を空けて定員340人の客席を100人までに制限した。

再開した寄席の入り口に掲げられたユーモアを交えた張り紙(1日、東京都台東区の浅草演芸ホール)

再開した寄席の入り口に掲げられたユーモアを交えた張り紙(1日、東京都台東区の浅草演芸ホール)

休業前は毎週のように通っていたという文京区の六崎省治さん(73)は「寄席は会場の独特の雰囲気があってこそ。やっぱり生で見るのが一番」と久しぶりの高座を楽しんでいた。同ホールによると来場客は常連が中心で、この1週間の客数は平日で平均50人、週末も90人ほど。松倉由幸社長は「休業前と比べると明るい兆しが見えるが、1、2月の大入りにはまだほど遠い」と話す。

ミニシアター「ユーロスペース」(渋谷区)も入場客の検温をしたり、1日10コマあった上映回数を8コマに減らしたりしながら、新常態での運営を始めた。年間20回は鑑賞に訪れるという江東区の60代主婦は「ここでしか上映しない映画も多く、待ち遠しかった」と再開を歓迎した。

「満員御礼」の回もあったが、支配人の北條誠人さんの表情は晴れない。約140ある座席数を半減させての上映では売り上げ回復は見込めず、コロナ禍で映画制作や映画祭の中止が相次いでいる状況では「上映できる映画が不足するかもしれない」との懸念もある。

都は休業要請の対象を段階的に緩和する行程表で「ステップ2」に移行した1日から、劇場などの娯楽施設の営業再開を認めた。だが新規感染が後を絶たず、翌2日夜に警戒警報「東京アラート」を発動。完全収束が難しい現状に、再開時期を慎重に見極めようとする施設もある。

上野の寄席、鈴本演芸場(台東区)は「客の安全を第一に考えると、まだ感染リスクへの懸念を拭いきれない」と6月末までの休演を決めた。代わりに、休演中のPR活動の一環として、6日から動画投稿サイト「ユーチューブ」で落語の生配信を始めた。

視聴は無料だが、コロナ禍で出演機会を逸した落語家たちのために、ホームページ上で「芸人応援チケット」を1枚1千円で販売。売り上げは出演料に充てるほか、購入者は営業再開後に入場料の割引券としても利用できる。広報担当者は「しばらく休業が続くが、寄席の魅力を伝える努力は積み重ねたい」と話す。

若手劇団などの公演を提供する民間劇場、花まる学習会王子小劇場(北区)も今後1カ月程度は閉館を続ける見通しだ。「ステップ2」移行が決まったのは5月末で、公演準備が整っていない状況ですぐに再開できなかったという。

同劇場の池亀三太芸術監督は「小劇場は客との距離の近さが魅力。再開は客にどれだけ納得してもらえるかが重要だ」と強調。現在は劇団などと相談しながら、再開に向け感染症対策を盛り込んだ指針を作成中という。厳しい経営が続くが「焦らず時間をかけて感染リスクを低減できるように準備したい」と話した。

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