NY市、経済活動が一部再開 コロナ感染確認から100日

2020/6/9 5:31
保存
共有
印刷
その他

【ニューヨーク=中山修志、河内真帆】新型コロナウイルスの全米最大の感染地となった米ニューヨーク市が8日、約2カ月半ぶりに経済活動の制限を一部緩和した。食料品以外の小売業や製造業、建設業の再開が認められ、最大40万人が職場に戻る。同市は7月にも店舗での飲食や理美容店の再開を認める第2段階の緩和をめざしており、感染拡大の第2波を抑えられるかが焦点になる。

同市で3月1日に最初の感染者が確認されてから、8日で100日が経過した。米国では首都ワシントンを除く全50州が既に経済活動を一部再開している。ニューヨーク州でもすでに多くの地区で第2段階までの制限緩和が認められており、人口の集中するニューヨーク市が最後発だった。

カジュアル衣料「ユニクロ」は5番街の旗艦店のバリケードを撤去したが、再開時期は未定だ

カジュアル衣料「ユニクロ」は5番街の旗艦店のバリケードを撤去したが、再開時期は未定だ

第1段階の再開では、衣料品や宝飾、スポーツ用品店など生活に必要不可欠ではない小売業も、ネット注文品を店舗の前か店内のカウンターで受け渡しできるようになる。百貨店大手のメーシーズはマンハッタンの旗艦店で8日午前から商品の受け渡しサービスを開始した。

ただ、店内での買い物やレストランの屋外スペースでの飲食などが認められるのは第2段階から。受け渡しサービスのために8日に再開した店は限定的で、地下鉄の駅なども混雑する様子はなかった。白人警官による黒人男性の暴行死への抗議デモの影響もあり、高級ブランド店が並ぶ5番街やタイムズスクエア周辺はショーウインドーを板で覆ったままの店が多い。

一方、止まっていた建設作業が再開し、市内の至る所でヘルメット姿の作業員と建設用車両が目立った。市当局によると第1段階の緩和で市内の1万6000店の小売店と3700の製造拠点、3万2000カ所の建設現場が再開し、20万~40万人が復職するという。

市内の至る所で建設作業が再開した

市内の至る所で建設作業が再開した

ニューヨーク地下鉄は乗客向けの無料のマスクを用意し、乗車率を15%以下に保ったうえで通常ダイヤに戻す。市内のバスは10月にかけて路線を5系統増やし、乗客の過密を避ける。

市では4月初旬のピーク時に1日の新規感染者数が6000人に達し、死者数も500人を超えた。累計死者数は約1万7000人と全米の15%を占める。ただ、外出制限の効果などで4月下旬から感染ペースが徐々に低下し、5月下旬には新規感染者数が1000人を下回った。6月初旬には死者数がおよそ3カ月ぶりにゼロになった。

8日に記者会見したデブラシオ市長は「経済再開が最も厳しい場所だったが、市民の協力でこの日を迎えることができた」と述べた。第2、第3段階の再開に向けて手洗いとマスク着用、社会的距離の徹底を求め、「全市民は無料でPCR検査を受けられる」と呼びかけた。

全米でコロナ感染患者が増加し始めた3月当時、ニューヨーク州のクオモ知事は経済活動への影響を懸念し、外出制限の発動が3月22日とカリフォルニア州より6日遅れた。このことがニューヨークの感染拡大につながったとの指摘がある。市民の移動手段である地下鉄やバスの混雑も感染を広げたとの見方もある。

同市のPCR検査の陽性率は7日に2%と、州が経済再開の基準とする15%を大きく下回った。クオモ知事は8日の会見で「事実とデータのみに基づいて、経済再開が可能だと判断した」と強調。「先に経済活動を再開した州内の各地域も感染者数の増加傾向はみられない」と説明した。

本格的な経済再開に向けて焦点となるのが感染の第2波の回避だ。ニューヨーク州では2週間ごとに感染者数や死者数、陽性率など7つの基準を満たすことで制限緩和を判断しており、ニューヨーク市の第2段階の緩和は早ければ7月初旬とみられている。市は第1段階の再開に備えてPCR検査の場所を市内240カ所以上に広げ、感染者を追跡調査する職員を増員した。

クオモ知事はカリフォルニアやフロリダ、テキサスなど経済再開で先行した州で再開後に感染者数が増加に転じたと指摘。「ニューヨーカーは賢明に行動しなければならない」と述べ、感染予防の取り組み強化を呼びかけた。

保存
共有
印刷
その他

電子版トップ



[PR]