米国の人出、コロナ前迫る 経済再開と抗議デモで

2020/6/9 4:30 (2020/6/9 5:08更新)
保存
共有
印刷
その他

連日の抗議デモもあり米国の人出は増えている(5日、ワシントン)=ロイター

連日の抗議デモもあり米国の人出は増えている(5日、ワシントン)=ロイター

【ニューヨーク=後藤達也】米国の人出が急速に回復している。経済の一部再開に加え、5月下旬からは全米で人種差別への抗議が相次いだ。米アップルの集計では徒歩や車の移動は新型コロナウイルスの流行前の水準に迫る。8日にはニューヨーク市も2カ月半ぶりに経済を部分的に再開。経済活動が持ち直す半面、コロナの感染が再拡大するおそれもある。

ミネソタ州での白人警官による黒人暴行死から2度目の週末となった6~7日、事件後で最大規模のデモが全米で起きた。首都ワシントンの中心部では大統領就任式のような人出となり、大規模な行進が繰り広げられた。アトランタやフィラデルフィアなど、数千人以上のデモが全米各地であった。

アップルが集計する地図アプリの利用状況で人の動きの回復が鮮明だ。車や徒歩の移動は2月平均の水準を回復した。一部の州で経済再開が始まった4月下旬から右肩上がりで増えた。

徒歩での移動を都市別に集計すると、デモの影響が顕著だ。暴行事件のあった5月25日以降、現場のミネアポリスでは徒歩の移動が急増した。デトロイトも増加が目立ち、直近は2月平均より5割近く多い。ワシントンも大規模デモのあった6日に大幅に増えた。

一時は略奪や放火が各地で相次いだが、この数日間で暴動は沈静化しつつある。警備強化や逮捕者が増えたことで、大半のデモは平和裏に実施されている。ただ、人種差別だけでなく、格差や警察への不満も噴出しており、デモは収束の兆しがみえていない。

経済再開も人出に影響している。ニューヨーク市は8日、経済再開の第1弾に踏み切った。対象は建設業などに限られるが、車の移動は徐々に回復している。レストランを再開する都市も増えている。大手レストラン予約のオープンテーブルによると、5月の全米の予約数は前年同月比92%減だったが、6月は79%減(7日まで)に回復した。

エネルギー情報局(EIA)の集計では1日時点のレギュラーガソリンの全米小売価格は1ガロン1.974ドルと4月下旬の安値から11%上昇した。経済再開に加え、ドライブシーズンに入ったことでガソリンの需要が持ち直している。株式市場でも経済再開への期待で、株価は連日のように上昇を続けている。

ただ、新型コロナの感染が再び急増するおそれもある。カリフォルニア州やテキサス州、アリゾナ州などは6月に入り、新規感染者数がピークを更新している。特に抗議デモでは大人数で密集しており、感染リスクは高まっている。感染拡大の第2波を招けば経済再開は頓挫し、景気だけでなく国民の生活や感情にも再びストレスがかかるおそれがある。

保存
共有
印刷
その他

電子版トップ



[PR]