コロナ後の住宅価格占う マンション値下がりは限定的
20代からのマイホーム考(2)

20代からのマイホーム考
コラム
2020/6/15 2:00
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コロナ後の株価動向はマンション価格に影響を及ぼすのだろうか

コロナ後の株価動向はマンション価格に影響を及ぼすのだろうか

新型コロナウイルスの影響により、世界経済がかつてないレベルで毀損してしまうのではないかといわれています。それに伴って住宅価格も、かつての平成バブル崩壊のときのように半値近くまで値崩れしてしまうのでしょうか。

■バブル崩壊とコロナショックの大きな違い

かつてのバブル期は、「不動産価格は必ず上昇する」という神話を誰もが信じていました。購入すれば必ずキャピタルゲインが得られると考えられていたため、投機的に住宅を買う人もいたのです。ある意味でロジックなく価格が上昇した結果、価格調整が完了するのは2000年ごろまでかかることになりました。

以下のグラフは国土交通省が発表している不動産価格指数(東京都)を示したものです。戸建て住宅の価格指数を見てみると、1990年代の平成バブル崩壊以降、下落の一途をたどっていますが、2000年ごろからは、最低で90台から最大120程度の範囲で上下動していることがわかると思います。おそらく、この範囲が戸建て住宅価格の適正なバンドと理解してもよいのではないかと考えています。

一方、マンションについては、12年までは戸建て住宅と同じような動きをしていましたが、13年以降は上昇が継続している点が戸建て住宅とは大きく異なります。おそらく、共働き世帯の比率が上昇し、利便性の高いマンションに人気が集中したことに加え、相続対策用の資産としてタワーマンションがもてはやされたこと、海外からの資金流入などの影響が考えられます。

■株価との関係から今後を予想

次のグラフは、先のグラフに日経平均株価を書き足したものです。

住宅価格の調整が終わった2000年以降で見ると、相対的な株価の底値が、相対的な住宅価格にほぼ一致しているという見解(川口有一郎著「不動産エコノミクス」2013年)がありますが、不動産価格指数と日経平均株価について見てみると、確かにそのようになっていることがわかります。

3月中旬から4月半ばにかけて、日経平均株価は一時2万円を割り込みましたが、この見解に従えば、リーマン・ショック時のような株価下落、すなわち日経平均が1万円を割り込むようなことがなければ、戸建て住宅価格が一気に下がるようなことはなさそうです。

一方、マンションについては、日経平均株価がマンション指数のグラフを下に突き抜けかけています。ただ、株価は4月後半あたりから回復してきたこともあり、現時点では一気に下落するという状況ではないと思われます。今後、株価が二番底に向けて再び下落するようなことがあれば、そのレベルに合わせるように(実際には半年程度遅れて)マンション価格は下落する可能性がありそうです。

■戸建て住宅は下がっても1割程度、マンションは?

以上からすれば、中期的には戸建て住宅は、仮に下がるとしても、これまでの上下動の幅の範囲、すなわち下がったとしても価格指数でいえば90台前半程度までということになるのではないでしょうか。現在は106程度ですから、下がっても1割強といったところになると考えています。

一方、マンションは価格指数が140~150ですが、株価のほうが下に突き抜けてきていますので、今後の株価次第(経済状況次第)と思われます。マンションは必ずしも実需だけで価格形成されていたわけではない面がありますので、その分がはげ落ちる可能性はあるものの、共働き世帯の割合が増加し、マンションへの選好が高まったと思われる現在、戸建て住宅の水準にまで下がることはないと考えます。

戸建て住宅が大きく値下がりしないと考えられる中においては、マンション価格指数は、00年以降の戸建て住宅価格指数の最大値である120よりは高い水準で維持されるのではないかと考えています。

景気後退の度合いが激しく、企業が給料を大幅に下げる、雇用が維持できないという事態が広範囲で発生するとなると状況は全く異なってきます。しかし、株価を見る限りではそこまでの状況にはなっていませんので、平成バブル崩壊の時のような暴落とはならないと思います。

田中歩(たなか・あゆみ)

1991年三菱信託銀行(現・三菱UFJ信託銀行)入行。企業不動産・相続不動産コンサルティングなどを切り口に不動産売買・活用・ファイナンスなどの業務に17年間従事。その後独立し、「あゆみリアルティーサービス」を設立。不動産・相続コンサルティングを軸にした仲介サービスを提供。2014年11月から個人向け不動産コンサルティング・ホームインスペクションなどのサービスを提供する「さくら事務所」にも参画。

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