JR北海道は6年連続で全区間赤字、赤字は過去最大

インバウンド
2020/6/8 19:20
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JR北海道が8日発表した2020年3月期の区間別収支は、23区間全てで営業赤字だった。区間別収支の公表を始めてから6年連続の全区間赤字。新型コロナウイルスの感染拡大で2月以降は都市部でも乗降客が激減しており、営業赤字の総額は551億円と過去最大にふくらんだ。

前期の売上高にあたる営業収益は774億円と、前の期を8億5100万円下回った。19年10月には運賃を1割程度引き上げた。18年の台風21号や北海道胆振東部地震による反動増という増収要因もあったが、2月以降に感染が本格化した新型コロナにかき消された。

2020年3月期の区間別収支について公表するJR北海道の綿貫泰之常務(左)(8日、札幌市の本社)

2020年3月期の区間別収支について公表するJR北海道の綿貫泰之常務(左)(8日、札幌市の本社)

新型コロナ関連は前期の営業収益を42億円押し下げた。国内外の航空会社が相次いで新千歳空港の定期便を運休・減便し、好調だった「快速エアポート」も旅客が低迷。北海道が2月に独自の緊急事態を宣言したため、道内の旅行や出張、通学の手控えが広がった。

営業赤字の総額(551億円)は前の期に比べ2億1200万円悪化した。少雪による踏切や駅構内の除雪負担軽減や車両の減価償却費の減少などもあり、営業費用は1326億円と6億円超減ったが補えなかった。

区間別で採算が最も悪化したのは石勝・根室線(南千歳―帯広)だった。営業赤字は39億円と、前の期に比べ5億8700万円増えた。運輸収入の減少に加え、トンネルや線路の修繕費がかさんだ。室蘭線(室蘭―苫小牧)も営業赤字が27億円と、赤字幅が2億7400万円広がった。

一方、23区間のうち13区間では収支が改善した。19年4~9月期に黒字に浮上した札幌圏は通期でも22億円の営業赤字(前の期は27億円の赤字)と、前の期に比べ4億9500万円赤字幅を縮めた。運賃引き上げ効果が出たほか、除雪負担が軽減した。北海道新幹線も93億円の営業赤字(同95億円の赤字)と収支が2億円強改善している。車両の減価償却費が減ったことが大きいという。

JR北海道が20年3月期に掲げた6項目の成果指標(KPI)は大半が未達に終わった。北海道新幹線の運輸収入は目標に5億円届かず、1日あたりの利用人数も4500人と200人足りなかった。訪日外国人向けの周遊券「北海道レールパス」発売額も4億5千万円少ない17億1千万円止まりだった。

次代の収益源として期待するホテル事業は81億円と目標に5億円未達で、不動産事業も目標を1億円割り込む262億円と横ばい圏。達成できたのは観光列車の取り組みと資材調達コストの削減の2項目だけと、経営は足踏みが続く。

32年3月期の達成を目指す連結黒字化への視界不良はコロナで先鋭化している。今期はJR北海道単体で5億7千万円、グループ会社で2億円のコスト削減を目指す。効率化や省力化で60人規模の業務を軽減する。

21年3月期のKPIとして10項目を掲げたが、北海道新幹線、新千歳空港アクセス、インバウンドといった6項目については新型コロナを理由に数値設定を先送りした。同日記者会見したJR北海道の綿貫泰之常務は「(先送りした6項目について)秋まで様子をみながら数値を設定したい」と述べるにとどめた。

(高橋徹)

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