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長期在宅でネット依存、脱却準備を 「脳過労」懸念も

(更新)

新型コロナウイルスに関する緊急事態宣言が全国で解除され、外出自粛でインターネットの利用が増えた生活からの「出口戦略」が重要になってきた。休校が長引いていた子どもや若者はネットやスマートフォンへの依存度が強まり、大人も膨大な情報に処理が追いつかない「脳過労」の恐れが高まっている。生活リズムの急変に備え、専門家は家族での準備を呼びかけている。

「宿題せずにゲームや動画に没頭している」「昼夜逆転が深刻化し、学校が再開したら生活リズムを戻せるか心配だ」

カウンセリングなどのKENZAN(東京都武蔵野市)が提供するネット・ゲーム依存回復支援サービス「MIRA-i」には休校が始まって以降、子どものネットの長時間利用を懸念する保護者の相談が増え、3月の相談件数は前月比で5倍となった。緊急事態宣言の解除が見えてきた5月中旬以降も相談が急増し、5月は同2倍に。4~5月に受けた相談の半分は休校関連だった。

休校中にネット依存に陥った子は少なくない。小学生の保護者1300人を対象にした群馬大の伊藤賢一教授らの研究チームが実施した調査によると、休校期間中にパソコンやゲーム機などのメディア利用が「増えた」と回答したのは83%。休校で特に困っていることを尋ねると、37%が「ネット依存、ゲーム依存」をあげた。

KENZANが実施しているネットやスマホ、ゲーム依存の問題を抱える子どもの保護者が対象の「家族相談会」は感染拡大を受けて月1回の開催を自粛していたが、5月上旬にオンラインに切り替えて実施。ほぼ満席だった。

講師を務めた公認心理師の森山沙耶さんは「長期休校でネットの長時間利用が習慣化される恐れがある」と指摘する。休校明けも昼夜逆転の生活習慣が残ると、不登校になりかねない。「学校が再開されてから徐々に生活を整えていくのでもいい」と助言する。

保護者も在宅勤務が続き、親子ともに自宅で過ごす時間が延びている。周愛荒川メンタルクリニック(東京・荒川)の八木真佐彦・精神保健福祉士は「閉塞感から親のイライラの矛先が向かうと、子どもがつらさを緩和するためにネットやゲームにのめり込みやすくなる。親が自分のコンディションを認識することが重要だ」と話す。

親自身もスマホやパソコンの利用時間が延びがち。懸念されるのが脳にストレスがかかる状態の「脳過労」だ。

もの忘れ外来を開設している「おくむらメモリークリニック」(岐阜県岐南町)の奥村歩理事長(脳神経外科医)は、脳過労を「スマホから流入する膨大な情報に処理が追いつかず、脳が疲弊する状態」と説明する。働き盛りの40、50代以下に多く、進行するとうつ病や認知症の初期症状がみられることもある。

「体と同様、脳も使ったらメンテナンスが重要。外部からの人工的な刺激や情報を遮断し、ぼんやりする時間をつくることで、脳内の散らかった情報を整理整頓できる」と奥村理事長。休憩にスマホをみるのも禁物だといい、自然を五感で感じたり、体を動かしたりして「デジタルデトックス」をすることの必要性を訴えていた。

中高生93万人が依存か


 厚生労働省研究班の2017年度の推計によると、オンラインゲームやSNS(交流サイト)などに没頭する「ネット依存」が疑われる中高生は国内で93万人に上り、7人に1人の割合だ。新型コロナウイルスによる在宅生活が長期化したことで、さらに依存傾向が強まる恐れがある。
 日本アルコール・アディクション医学会(京都市)は4月、1日当たりのゲームなどに費やす時間がコロナ以前より増えた人は元に戻すことを呼びかけた。依存の恐れが強い場合は(1)友人らとの電話(2)人と距離を取っての散歩や室内での体操(3)見たかった映画の鑑賞や読みたかった本を読む――などを組み合わせ、夜更かししないなどの生活習慣を推奨した。
 世界保健機関(WHO)も3月、新型コロナの感染拡大による不安感の解消や時間つぶしのため、ゲームなどの利用に陥りやすくなっていると指摘。過度な利用は昼夜逆転や栄養失調、頭痛、言葉や身体の暴力を引き起こすとして注意喚起した。

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