ベトナムとEUのFTA、8月1日にも発効

2020/6/8 20:16
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【ハノイ=大西智也】ベトナム国会は8日、欧州連合(EU)との自由貿易協定(FTA)を承認した。EU側の手続きは終了済みで、ベトナム政府の批准を経て、早ければ8月1日に発効する。ベトナムは新型コロナウイルスの感染拡大も足元では収束している。欧州との貿易拡大で高い経済成長を続ける構えだ。

欧州連合(EU)とのFTAが発効すればベトナムの縫製業は輸出拡大の恩恵を受けそうだ(1日、ハノイの縫製工場)=ロイター

協定の文言や現地メディアによると双方が手続き完了を通知した日の翌々月の1日に発効する。国会承認は当初、5月の予定だったが、手続きに時間がかかり、延期されていた。8日の採決では国会に出席した457人の議員が全員賛成した。

対EUはベトナムにとって13番目のFTAになる。発効後にベトナムからEUへの輸出品の71%の関税が、EUからベトナムへの輸出品の65%が即時撤廃される。10年かけて双方の輸出品の99%の関税を撤廃する。

EUとのFTAが予定通り発効すれば、2021年1月の共産党大会の成功を目指すチョン党書記長の体制にとって追い風になる。チョン氏は党内保守派の代表とみなされることが多いが、ベトナム経済を段階的に開放し、世界規模でのサプライチェーン(供給網)に加わっていく穏健な改革には前向きとされる。

ベトナムは4月下旬、新型コロナの感染拡大防止のための外出禁止措置を緩め、経済の正常化にかじを切った。20年の実質成長率はEUとのFTA効果も見込み、5%程度を目標にしている。

世界銀行は、対EUのFTAには30年までにベトナムの国内総生産(GDP)を2.4%押し上げる効果があると試算する。ベトナムが同時に国営企業改革などを進めれば、同国のほかのFTAと比べ「GDPや総輸出入の側面で最大の恩恵を受ける可能性がある」(世銀)とも分析した。

ベトナムは1986年に始めた「ドイモイ(刷新)」政策で、大胆な経済開放や規制緩和を進めてきた。2007年には世界貿易機関(WTO)に加盟。生産コストが割安で、いまでは約1億人に増えた大きな潜在市場を抱える投資先として注目を集め、海外から多額の資金が流入し、高い経済成長を続けてきた。

ベトナムは18年に発効した環太平洋経済連携協定(TPP)にも加わった。日本総合研究所の塚田雄太副主任研究員は「世界規模のサプライチェーンへの参加に成功している」と指摘する。

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