ブラジル、コロナ死者を6割下方修正 政権批判回避か

2020/6/8 13:26 (2020/6/8 18:41更新)
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ボルソナロ大統領に抗議するデモ活動(7日、南部ポルトアレグレ)=ロイター

ボルソナロ大統領に抗議するデモ活動(7日、南部ポルトアレグレ)=ロイター

【サンパウロ=外山尚之】ブラジル政府は7日、新型コロナウイルスによる新規の死者数について一度発表した数字を約6割下方修正した。修正の理由については明らかにされていない。国別の感染者数が米国に次ぐ世界2位で感染拡大が止まらない。ボルソナロ大統領が批判をかわすための方策だとの見方もある。

保健省は7日夜、新型コロナによる1日の死者をいったん1382人と発表した後、半数以下の525人に修正した。6日までは1日1000人程度で推移しており、極端に少ない数字は明らかに不自然だ。経済紙バロル・エコノミコ(電子版)が「矛盾したデータを発表した」と指摘するなど、ブラジルでは政権の情報開示に疑問や批判の声が上がっている。

新型コロナのデータ開示を巡ってボルソナロ政権は「過少報告や矛盾を避けるためだ」として6日、新型コロナの累計死者数などのデータを非公開にした。保健省のサイトが突然メンテナンス中となり、復旧後には開示されてきた累計感染者数や死者数などの情報がなくなった。かわりに回復者の人数を強調するようになった。

ブラジルで新型コロナの感染者が初めて確認されたのは2月末で、ほかの国よりも比較的遅かった。ボルソナロ氏は「ただの風邪」だと言い放って対策を怠った。各州が進める外出制限などの措置に反対して国民に外出を促し、企業には通常活動を呼びかけてきた。対策を重視する保健相が1カ月で2人も辞任するなど混乱もみせ、国全体として対策に一貫性がとれない状態になっている。

富裕層向けの一部を除き医療機関ではベッドが不足するなど医療インフラは全国で未整備だ。「ファベーラ」と呼ばれる貧民街の衛生状態は良好でなく、人々が密集して生活し、集団感染が起きている。米ジョンズ・ホプキンス大の国別の集計によると、ブラジルの累計感染者数は米国に次ぐ2番目の多さ。死者数は米国、英国に次ぐ3番目。英国を上回るのは時間の問題とみられている。

ボルソナロ氏が政治的な求心力の低下を危惧しているとの観測もある。主要な世論調査でボルソナロ氏の不支持率は4割を超え、支持率が約3割にとどまる。新型コロナへの対応のまずさに加え、自身の息子の汚職疑惑への捜査を妨害するため、警察人事に介入した疑いも浮上している。

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