経常黒字2627億円、4月84%減 貿易赤字響く

2020/6/8 8:58 (2020/6/8 10:06更新)
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財務省が8日発表した4月の国際収支統計(速報)によると、海外とのモノやサービスなどの取引状況を表す経常収支の黒字は2627億円と前年同月と比べ84.2%減となった。4月としては比較可能な1985年以降で最低だった。新型コロナウイルスの感染拡大を受け、米国向け自動車輸出が激減するなど貿易赤字が響いた。

経常収支は輸出から輸入を差し引いた貿易収支や外国との投資のやりとりを示す第1次所得収支、旅行収支を含むサービス収支などで構成する。貿易収支は9665億円の赤字だった。赤字額は前年同月の約8倍となった。

新型コロナの感染拡大で経済活動が停滞し、自動車など工業製品を中心に米国やアジアのほぼすべての地域向けで輸出が減った。輸出は4兆9090億円と23.0%減少した。輸入は5兆8756億円と9.5%減だった。中東からの石油を中心に減った。

第1次所得収支の黒字は1兆9835億円で7.7%減少した。このうち、海外企業の日本法人が親会社に支払う配当金など証券投資収益の黒字が9891億円と12.5%減少した。利回りの低下が響いた。

訪日外国人の消費から日本人の海外旅行での消費を差し引いた旅行収支の黒字は225億円で91.8%減少した。日本政府観光局によると、4月の訪日外国人旅行客数は2900人と前年同月比99.9%減っている。統計を取り始めた1964年以降で最少だった。

旅行収支は訪日客の増加で月平均2000億円程度の黒字を維持してきた。人口減で縮む内需を補い、経常収支全体の黒字も支えてきた。旅行収支の激減は、観光で稼げなくなっていることを映し出している。

SMBC日興証券の宮前耕也シニアエコノミストは「今後、経常収支は一時的に赤字になる可能性もある」と指摘する。米国でのデモ拡大や新興国での感染拡大で海外経済の回復ペースが不透明なうえ、原油価格の回復で日本への輸入価格が上昇するためだ。財務省は5月以降について「貿易や旅行の収支は厳しい状況が続くのではないか」との見通しを示した。

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