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棒高跳びなど「リモート大会」続々 トップ選手参戦

2020/6/12 3:00
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自宅で棒高跳びに挑むラビレニ。デュプランティスと優勝を分け合った(世界陸連提供)=ロイター

自宅で棒高跳びに挑むラビレニ。デュプランティスと優勝を分け合った(世界陸連提供)=ロイター

新型コロナウイルスの感染拡大の影響で多くのスポーツイベントが中止となる中、選手がインターネットを通じて遠隔で対戦する「リモート大会」の開催が相次いだ。棒高跳びやアーチェリーなどではトップ選手が参加する大会が開かれ、全世界に動画が配信された。コロナ後のスポーツの新たな形として定着するか、注目される。

5月17日に開かれたアーチェリーの国際大会決勝。コロンビアの女子選手、サラ・ロペスが弓を引く。放った矢は見事に的の中心を捉えた。10点だ。「パーフェクト!」と実況が叫ぶ。優勝を決めたロペスはカメラを手に持って自身を映し、笑顔を見せた。

世界アーチェリー連盟は5月、トップ選手がそれぞれの練習場所で競技を行い、遠隔で対戦する大会「ロックダウン・ノックアウト」を開いた。弓に滑車がついた「コンパウンド」と呼ばれる部門で争い、世界ランキング上位の男女8人が参加した。特別ルールとして的までの距離は18メートルに設定し、選手は的と自分を映すカメラを設置して競技を行った。

決勝ではロペスと男子のアンドレ・ファウスタ(ノルウェー)が対戦。146-144で優勝を決めたロペスは「これは歴史の一部。素晴らしいアーチェリー選手たちと対戦できた」。賞金はコロンビアの慈善団体に寄付するという。試合途中にネット回線のトラブルによって映像が中断する場面もあり、「最初は少しいらだったけれど、家族が助けてくれたわ」と話した。

棒高跳びのリモート大会は動画をユーチューブにアップ。ラビレニ(右上)、ケンドリクス(右下)、デュプランティス(左下)が争った(世界陸連提供)=ロイター

棒高跳びのリモート大会は動画をユーチューブにアップ。ラビレニ(右上)、ケンドリクス(右下)、デュプランティス(左下)が争った(世界陸連提供)=ロイター

棒高跳びでも5月、トップ選手が自宅の庭などから映像をつないで参加するユニークな大会が開かれた。出場したのは世界記録保持者のアルマント・デュプランティス(スウェーデン)、世界選手権2連覇中のサム・ケンドリクス(米国)、2012年ロンドン五輪覇者のルノー・ラビレニ(フランス)の3選手だ。選手らは庭にバーを設置。高さではなく、5メートルのバーを30分間で何回跳べるかを競った。

自己ベストがいずれも6メートルを超える3選手の対戦は1分に1回を超えるペースで進む。途中でケンドリクスのペースが落ち、勝負はデュプランティスとラビレニの一騎打ちに。結果は2人がともに36回を跳び、優勝を分け合った。

ラビレニが「大きな大会を制したのと同じ気分。毎週は無理だけど、年に1回なら喜んで参加するよ」と話すと、デュプランティスも「試合が本当に恋しかった。引き分けになるとは思わなかったが、これがスポーツだ」と充実感を表した。26回にとどまったケンドリクスは少し疲れた表情ながら「バーの高さが5メートル40センチだったら結果は違っていたかもね」と笑った。

世界陸連のセバスチャン・コー会長は「革新的な試みだった。こうした大会をいくつか開催し、陸上ファンを楽しませたい」と話し、リモート大会の継続の可能性を示唆した。

トライアスロンの世界最高峰イベント、アイアンマンレースは4月から、一般人やプロ選手が自宅などから参加できる「VRシリーズ」を開始した。参加者は脈拍や心拍数を計測できるウエアラブル端末を着用し、ランニングマシンやフィットネスバイクを使ってレースに臨む。

通常のアイアンマンレースはスイム3.8キロ、バイク180キロ、ラン42.195キロで争う。VRシリーズの第1回大会は参加者の競技環境を考慮し、ラン5キロ、バイク90キロ、ラン21キロの計116キロでタイムを競った。アマチュア部門では115カ国から1万1000人以上が参加。プロ部門にも8人の選手が出場した。大会を主催するアイアンマングループのアンドリュー・メシック最高経営責任者(CEO)は「選手が目的を持ってトレーニングを継続し、競争する機会を提供できる」と大会の意義を語る。

新型コロナウイルスの感染拡大は多くの人々のつながりを分断し、スポーツを楽しむ機会を奪った。ネットを通じて対戦するリモート大会は、世界中の選手やファンが離れた場所にいながら、実際に体を動かしてスポーツに取り組めるメリットがある。試合の公平性をどう担保するかなどの課題もあるが、コロナ後のスポーツの新たな楽しみ方として普及する可能性もあるだろう。

(木村祐太)

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