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「世界ゴルフ旅」再開を待つ川村 まず欧州で結果を

編集委員 吉良幸雄

1月に南アフリカで開催された2020年初戦から、アブダビ(アラブ首長国連邦)、ドバイ(同)、サウジアラビア、オマーン、カタール――。男子ゴルフの川村昌弘(26)の欧州ツアー2年目は3月初旬、中東カタールでの6戦目で途切れた。新型コロナウイルスが世界中にまん延、翌週のケニア以降の試合は中止・延期され、ツアーの時間は止まったままだ。

「こんなに日本にいることはありませんね」。3月8日、大会最終日に帰国すると、三重県四日市市の実家へ。その後は近くのゴルフ場でのラウンドを中心に、コロナ下での日々を送っている。「日常生活の範囲で、ジョギングしたりコースを回ったり、だらだらしないように。僕はゴルフ場が好き。打ちっぱなしの練習場は嫌いだから、プロになってほとんど行ったことがない」。マイペースで過ごし、ストレスは全く感じていないと笑う。

昨季はプレーオフシリーズで上位にいけず、最終戦出場を逃す(南アフリカ・サンシティで。写真はいずれも本人提供)

昨季、欧州ツアーに本格参戦した川村は、ポイントランク56位(獲得賞金は62万6889ユーロ=約7700万円)で初シードを得た。18年に最終予選会(スペイン)を突破、参戦1年目でシード選手になったが「優勝して、最終戦に出るのが目標だったが、結果的にどっちも達成できなかった。大満足のシーズンとはいえない」。

計27戦してインドオープンの2位がベスト。モロッコ、モーリシャス、スペインでもトップ10に入っているが、初優勝には届かずじまい。プレーオフシリーズ第1、2戦のトルコ、南アで思うような成績を残せず、ランク50位以内が出場できる最終戦、ツアー選手権(ドバイ)に駒を進められなかったことに悔いが残る。

ロンドンで行われた全米オープン予選で、第1ラウンドでトップに立ちながら、第2ラウンドで振るわず1打差でプレーオフに残れなかったのもかなりショックだったそうだ。「ペブルビーチだから行きたかったけど……」

それでも17年日本ツアーで賞金ランク71位とシード維持にきゅうきゅうとしたことからすれば、18年の同ランク15位(2位3回)、昨年の欧州での健闘は、V字回復ともいえる。3年前の不振の原因は、本人もよくわからない。「何が悪いわけでもなく、ゴルフがちぐはぐ。今振り返ると、本厄だったか」。何かを変えたわけではない。スイングも道具もずっと同じ。ただ気持ちは少し変わったという。

ツアーに慣れ、レベルアップの手応え

アマチュア時代から、全英オープン優勝を目標にゴルフをやってきた。なのに17年は予選通過のためにティーショットを置きにいってしまったことも。縮こまっていたゴルフから、同年半ばに原点回帰。172センチ、72キロと体が大きくはない自分が全英で勝つためには、ドライバーショットをしっかり振るしかないと言い聞かせた。「世界一になれるとは思わないけれど、ゴルフでは何が起きるかわからない。ラッキーでメジャーを勝つことはあると思う。一発当てる準備をしないといけない」。欧州ツアー予選会に挑戦することも決めた。

リンクスコース攻略は難しい(英セントアンドルーズで)

福井工大福井高3年だった11年に国内ツアーの最終予選会を19位で突破しプロ転向。13年に日本・アジアツアー共催のパナソニックオープンでツアー初優勝を飾った。以来、アジア参戦を足がかりにアジア・欧州共催大会にも出場。欧州フル参戦を狙ったが、なかなかうまくいかなかった。山あり谷あり。「時間をかけて。やっとスタート」。昨季については「欧州ツアーのコースはレイアウト、セッティングが難しいけれど、慣れてきた。試合に出ながらレベルアップしているのかな、という手応えは感じた」と振り返る。

大会コースに関し、相性の良しあしはある。アップダウンが適度にあり、日本にも似たテクニカルな林間コースのモロッコやスペインの試合では「それほど調子が良くなくて凡ミスもしたのに、トップ10に」。一方、地面が硬く風の強い英スコットランドのリンクスコースになるとうまく対応しきれない。「4~5アンダーならいい線いくのでは、と思っても、予選カットラインが6アンダーとか。自分が思い描いたスコアと一致しない」という。

各国転戦を満喫、観光旅行で息抜き

成績にかかわらず、「旅人」は待ち望んでいた欧州ツアー転戦を満喫している。「英語もそれほど上達してないけれど、困ることはない。移動も苦にならず(空き週に)日本に帰国しなくても平気。特にヨーロッパ本土は楽しい」。食事がおいしく、気の合う選手も多いスペインはお気に入りだ。

どの国へ行ってもオフィシャルカーやホテルは利用せず、レンタカーに帯同キャディーの坂井恵さんを乗せ自ら運転、ホテルもインターネットで検索して宿泊している。今年は中東転戦でもそのスタイル。昨夏のインドの試合では1人バッグを担ぎ、タクシーを使って参加した。試合のない週やオフに、あちこち観光旅行し息抜きをしている。昨年はクロアチア、スロベニアなど旧ユーゴスラビア6カ国を回った。これまで試合で行った40カ国前後を含め、68カ国に足を踏み入れたという。

ゴルフで世界を旅するのは楽しい(ケニアオープンで)

昨年から、08年にスウェーデンで始まった社会啓発活動「RDD(Rare Disease Day=世界希少・難治性疾患の日)」の日本アンバサダーを務めている。自粛生活を通じ、改めて「スポーツは平和じゃないとできない」と思ったという。

欧州ツアーでは20年の出場資格がそのまま21年に持ち越しとなった。5月末には、7月22日開幕の英国マスターズで再開、その後、英国内で7、8月に5試合開催という新たなスケジュールが発表された。ただ国内ツアーのシード権も保持しており、今後の大会出場については国内外の状況を見ながら、検討するという。

仕切り直しとなっても目標は変わらない。「欧州ツアーで結果を残せれば、米ツアーへの欲も出てくると思う。まずは欧州で結果を。昨年達成できなかった優勝と最終戦出場を果たしたい。意気込みすぎてもダメだから、一試合一試合を大切に」。肩の力を抜き、楽しみながら「世界ゴルフ紀行」を続ける。

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