再エネ普及へコスト削減 電力の新買い取り制度始動へ

2020/6/5 22:26
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再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度(FIT)の一部が市場との連動性を重視した仕組みに見直される。大手電力会社が一律の価格で買い取る現行制度から、需給に応じた市場価格に一定額を上乗せして支援する仕組みとする。事業者の工夫や競争を促し、再生エネの普及が進む欧州に比べて高いコストの引き下げにつなげる。

大規模な事業用太陽光や風力を念頭に「FIP」と呼ばれる新しい制度を導入する改正再生エネ特別措置法が5日、成立した。2012年に始まったFITは買い取り価格が常に一定で、収入はいつ発電しても同じだ。電力需要が多く、市場価格も高いピーク時に供給を増やすインセンティブがない。コストの抑制効果も乏しい。電力事業者に競争を促す余地も少なかった。

FITは買い取り価格が一定のため、需要が少なく市場価格が安い電気ほど補助が大きくなる。結果として補助全体が膨らみがちになっていた。FIP制度では市場価格が低い時間帯に蓄えた電力を、需要が大きく市場価格が高い時間帯に供給するインセンティブが生まれる。

12年に始まったFITは高めの買い取り価格を設定することで再生エネの普及につながったが、大手電力が発電事業者から買い取るための原資は家庭や企業が払う電気料金に「賦課金」として上乗せすることでまかなってきた。普及につれて国民負担は膨らみ、19年度の買い取り費用のうち家庭や企業に転嫁する分は約2.4兆円に上る。

FITは再生エネを「特別扱い」としたことで普及を進めたが、裏返しとして国民負担が膨らみ、持続性が乏しくなってきた。FIPの導入によって市場との連動性を高めることで、再生エネの主力電源化を後押ししていく。

改正再生エネ特措法と一緒に成立した改正電気事業法では、災害による停電時に復旧が円滑に進むよう、電力会社に他電力や自治体、自衛隊との連携計画の策定を義務付ける項目も盛り込まれた。石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)がレアアースの精錬事業に出資できるようになる改正法も成立した。

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