東北の出生率、5県で低下 宮城は全国2番目の低水準

2020/6/5 19:59
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厚生労働省は5日、2019年の人口動態統計を発表した。東北6県は秋田を除く5県で合計特殊出生率(1人の女性が生涯に生む子どもの推定数)が前の年より下落した。岩手、宮城、秋田は全国平均を下回り、なかでも宮城は東京に次いで全国2番目の低水準となった。

宮城の合計特殊出生率は1.23で前の年から0.07ポイントと大きく下落した。前年も全国4番目の低水準だったが、東北大学の吉田浩教授によると宮城の特徴として(1)大学が多く20歳前後の女性が流入し、卒業後に東京に流出する(2)同じ地方拠点都市がある広島県と比べ、働きながら子育てする女性の割合が低い――といった要因があるという。

若い女性が進学や就職で宮城に集まっても、分母が増えるだけでは出生率は低下する。仙台市は認可保育所に入りたくても入れない待機児童が多い。20年(4月1日時点)は前年比約25%減ながら91人。市の担当者は「20年度は保育所の入所定員を約650人分増やす」と話すが、解消しない状態が続いている。

秋田県は1.33と横ばいだった。不妊治療への助成など「様々な政策を動員した効果が出ているが、東北でワースト2位、全国で同10位と依然危機的な状況だ」と県次世代・女性活躍支援課は分析する。

県や市町村などが設立した一般社団法人あきた結婚支援センター(秋田市)は1月に婚活支援システムを刷新。人工知能(AI)を使ったマッチングで40歳代の男女が4月に結婚した。新システムによる成婚カップル第1号で、11年4月のセンター設立からの成婚報告者は1500人を突破した。こうした支援策も少しずつ成果を出しているとみられる。

岩手県の合計特殊出生率は1.35で0.06ポイント低下した。県子ども子育て支援室は「出生率は低下したが、ここ数年減少傾向だった婚姻数は微増となっている」と指摘。子育て支援策の拡充とともに、仕事と子育ての両立に向け、県内企業に働き方改革も呼びかけていくという。

山形大学の竹内麻貴准教授は「自治体の支援が充実していても、職場の理解がないと育児や妊娠のための通院と仕事の両立は難しく、出生率向上は達成できない」とみている。

合計特殊出生率は各県が目標を掲げる重要な指標だ。山形県は1.70を目標にするが、今回は1.40と前年から0.08ポイント低下した。吉村美栄子知事は「人口減少・少子化対策を最重要課題の一つに位置づけていたが、今回の結果にさらなる危機感を持った」とコメントした。

出生率について地銀系シンクタンク、フィデア情報総研の熊本均執行役員は「地域に残る若い女性が減少しているのに、出生率を上げても人口は増えない」と指摘する。「女性の社会的流出を抑制する目標を重視すべきだ」といい、目標設定が適切なのか検証を求めている。

東北大の吉田教授はさらに「出生率を高めようと真正面から取り組む時代ではない」と現実を直視する政策が必要と指摘。「東北は地域のつながりが残っている。残された人でどう社会を維持するか、新たな発想が必要」としている。

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