大雨の季節に「在宅避難」の備えを 水食料は1週間分

2020/6/5 11:43
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2019年10月、台風19号による浸水被害で、大勢の人たちが身を寄せた長野市の避難所

2019年10月、台風19号による浸水被害で、大勢の人たちが身を寄せた長野市の避難所

大雨や台風などによる水害が起きやすい「出水期」が近づいてきた。新型コロナウイルス対策のための緊急事態宣言は全国で解除されたが、洪水などで避難所に人が密集すれば再び感染リスクが高まる。自治体からは「自宅が安全なら『在宅避難』を」との提唱が相次ぎ、専門家はそのための各家庭での1週間分の食料・水の備蓄を呼びかけている。

「避難所は密閉・密集・密接のいわゆる3密の状態となる可能性があります」。さいたま市は4月中旬、安全であれば自宅にとどまって在宅避難をするようウェブサイトで呼びかけた。横浜市や大阪府泉大津市なども同様に在宅避難のための準備を市民に勧め、愛知県豊橋市はヤフーの防災アプリを通じ、在宅避難の環境づくりの周知を始めた。

NPO法人環境防災総合政策研究機構(東京・新宿)が4月、新型コロナの感染拡大が避難行動に影響するかをインターネットで約5千人に尋ねたところ、「影響する」との回答が73.3%を占めた。このうち40%前後が具体的な影響として「様子を見て避難先を変える」「車中泊避難をする」を選んだ。

多くの人が集まる避難所は感染症がまん延するリスクを避けられない。1995年の阪神大震災では避難所でインフルエンザが流行した。

政府は新型コロナの感染拡大を防ぐため、避難所での換気の徹底などを自治体に通知したが、対策には限界がある。6月から秋までの「出水期」を控え、内閣府は5月18日、感染が収束していない状況でも「危険な場所にいる人は避難が原則」としつつ、「避難とは難を避けること、安全な場所にいる人まで避難場所に行く必要はない」とSNS(交流サイト)などで強調した。

各地で防災教育に取り組むNPO法人プラス・アーツ(神戸市)の永田宏和理事長は、まずハザードマップや住まいの耐震状況を確認したうえで、在宅避難ができる人は「居住空間確保のために家具の転倒防止」と「避難グッズの用意」が必要だと指摘する。

同法人はサイト「地震ITSUMO.COM」で必要な準備も紹介。例えば、飲料水は家族の人数に応じて1人2リットルを7日分用意する必要がある。歯磨きなどに使える専用のウエットティッシュは30日間水が使えない場合を想定し、4人家族でボトル7個用意しておくのが目安となる。注意すべきは品質保証期間があること。食品の消費期限と同様、いざというときに使えなければ意味がない。備蓄品を普段から使いながら買い足して補う「ローリングストック法」を推奨している。

レシピ動画サイト「クラシル」は、レトルト食品や缶詰などを活用した災害食レシピを公開している。運営するdely(デリー、東京・品川)によると、外出自粛に伴って自炊や買いだめをする人が増え、「保存(保存食)」の4月の検索数の1日平均は前年同月と比べて1.7倍に増えた。同社の担当者は「これを機に備蓄品を使った災害食づくりに挑戦してほしい」と話す。

ただ、在宅避難者にとっても、避難所は物資調達や情報収集に欠かせない拠点となる。永田理事長は「避難所に行く際はマスクを着け、少人数で物資を受け取るなど感染症対策が必須」と話す。自治体側も食料を屋外で配布したり、時間を分散したりするなど密集を防ぐ工夫が求められる。

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