豪印、防衛協力で新協定 対中けん制 首脳が合意

2020/6/5 1:00 (2020/6/5 11:33更新)
保存
共有
印刷
その他

【シドニー=松本史】オーストラリアとインドがインド太平洋での防衛協力を拡大させる。両国は4日、オンラインで首脳会談を開いた。両国軍の相互運用能力を高める協定で合意し、共同声明を発表した。通商や領土を巡り中国との緊張が高まる中、豪印は日米主導で中国に対抗する「自由で開かれたインド太平洋」構想に賛同、対中けん制で足並みをそろえる。

オンライン会議に先立ち、画面に映し出されるモリソン首相(左)とモディ首相(4日、キャンベラ)=AAP

豪州のモリソン首相とインドのモディ首相は豪印関係を従来の戦略パートナーシップから包括的戦略パートナーシップに格上げすると決めた。相互後方支援協定の締結でも合意した。ロイター通信によると、この協定で両国の軍隊が互いの艦船や航空機に燃料補給したり、整備施設を利用したりできるようになる。

インド太平洋地域での海洋協力に関する共同宣言では「(豪印には)インド太平洋地域で航行の自由を確保する共通利益がある」と指摘した。両国が同地域で「安全保障などの課題に対し共通の懸念を抱いている」とも表明し、南シナ海とインド洋を結ぶシーレーン(海上交通路)の確保を目指す中国を強くけん制した。

両首脳は海軍間の協力を深め、情報交換を進めることも確認した。米印海軍と日本の海上自衛隊による共同訓練「マラバール」への豪州の参加も協議されたとみられる。豪州は2007年マラバールに参加したが、中国が不快感を表明したため、その後は参加していない。外務・防衛担当閣僚協議(2プラス2)に関しても、少なくとも2年ごとに開催し、日米との連携も進める方針だ。

両首脳は貿易や投資活動の拡大に向けた協力も協議した。豪州の投資家向けにインドのインフラ部門についての情報提供を行うなどの連携を進める。

豪印がここにきて中国へのけん制を強める背景には、中国と摩擦や緊張が高まっていることがある。

豪州は今年4月、新型コロナウイルス感染拡大の経緯に関する独立調査を求め、中国の強い反発を受けた。中国は5月、一部の豪産食肉の輸入停止に踏み切り、大麦にも80%超の追加関税を課すと発表した。18年には豪州は安全保障上の懸念から次世代高速通信規格「5G」から中国の通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)を排除している。インドと中国の国境付近では、1カ月ほど前から両国軍の小競り合いが続く。

中国と対立が続く米国は、豪印に秋波を送る。中国が広域経済圏構想「一帯一路」を掲げ、南シナ海やインド太平洋へ進出することに米は非難を続け、通商でも対立する。トランプ米大統領は9月以降に米国で開く主要7カ国首脳会議(G7サミット)に豪印も招待し、対中包囲網の構築につなげる考えで豪印も参加に前向きだ。

もっとも、豪印両国は中国に対し、明確な対決姿勢を示すのは難しい。経済上の関係が深いからだ。中国は豪州にとって輸出の3割超を占める最大の貿易相手国だ。牛肉や大麦など農産物は中国への輸出額の1割程度だが、中国からの「報復」が液化天然ガス(LNG)など資源分野にも及べば影響は大きい。

インドにとっても中国は米国、アラブ首長国連邦(UAE)に次ぐ主要の輸出先だ。両国とも安全保障と経済のバランスで難しいかじ取りが続きそうだ。

保存
共有
印刷
その他

電子版トップ



[PR]