電子マネー相互利用促す 3メガバンク・JR東など協議会
デジタル通貨の基盤整備 スイカと連結検討

2020/6/3 23:00 (2020/6/4 5:36更新)
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3メガバンクやJR東日本NTTグループなどが3日、デジタル通貨の基盤整備をめざす協議会をつくると発表した。欧米や中国では国際送金などでも広く使えるデジタル通貨の準備が進む一方、国内では買い物の決済などに使う電子マネーのサービスが乱立している。協議会はまず事業者が相互乗り入れしやすくしたり、ブロックチェーン(分散型台帳)で安全性を高めたりする方法を検討する。

その後、法定通貨自体を電子化する将来のデジタル通貨の構想の実現をにらむ。協議会は段階的に研究を進める。

インターネットイニシアティブ(IIJ)傘下のディーカレット(東京・千代田)が「デジタル通貨勉強会」を立ち上げた。3メガバンクのほか、NTTグループやKDDIセブン銀行などが参加。オブザーバーとして金融庁や財務省、日銀なども加わる。9月までに議論の方向性を出す。

国内には多くの電子マネー決済サービスがある。政府のポイント還元策などで特に利用が伸びているのは「ペイペイ」や「LINEペイ」などスマートフォンでの利用が主体のサービスだ。

JR東のSuica(スイカ)は鉄道利用者などの保有が多い。発行枚数は8000万枚に達するが、伸びは鈍っている。銀行系ではみずほ銀行が地銀などと組み「Jコインペイ」を発行するが、利用者はペイペイなどを大幅に下回る。

協議会に参加するJR東やみずほ銀などは、利用者を増やすための連携を探る。今はそれぞれの決済手段に互換性が乏しい。チャージしたお金を払い戻せないといった規制の縛りがある。

協議会は「日本におけるデジタル通貨のモデルを議論し、標準化を推進する」という。各事業者が顧客を囲い込んでいる状況では、広く流通する条件が整わないとみて利便性を高める道を探る。

協議会では相互利用を可能にする新しいプラットフォームなどを議論する。例えば、Jコインペイの利用者がスイカやNTTドコモのd払いなどで決済できるようにすることなどを検討する。

次に検討するのは安全性を高める技術だ。相互利用が進めば不正な取引やシステムが不安定になるといったリスクが高まる恐れもある。協議会はブロックチェーンなど最新技術を取り入れ、事業者が連携しながらサービスを広げる方法を探る。

海外では民間や中央銀行の間で、本格的なデジタル通貨を導入する準備が先行して進む。米フェイスブックは2019年6月に「リブラ」を発表した。国境をまたぐ送金などが現状の金融取引より低コストで速くできるようになる見込みだ。

JPモルガン・チェースも「JPMコイン」の実用化に向けた準備を進める。顧客が預金の一部をコインに替え、ブロックチェーンを使ったシステムを通じて相手の口座に移転できる。

「デジタル通貨が今後2年以内に主流になり現金にとってかわる」(ドイツ銀行)といった指摘が出る中、各国の中央銀行も関心を寄せる。ブロックチェーンなどの技術を金融取引で活用すれば、個別の取引内容を細かく追跡できる。脱税や資金洗浄(マネーロンダリング)などをあぶり出せる利点もある。

日銀も欧州中央銀行(ECB)や英イングランド銀行など海外6中銀と共同で研究を始めた。ただ今回の協議会ではオブザーバーにとどまる。現時点で具体的にデジタル通貨を発行する計画はない。民間の決済サービスの利便性を高めるのが先決との立場だ。

一方で、中国が国内の一部地域でデジタル人民元の実証実験を進めるなど、海外では導入機運が高まっている。協議会の座長に就く山岡浩巳・元日銀決済機構局長は3日の記者会見で「民間ができるデジタル通貨の可能性を探りたい」とした。

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