南欧、観光を再開、伊、欧州との入国制限解除

2020/6/3 18:44
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ローマの観光名所「コロッセオ」はマスクの着用を義務付けている=AP

ローマの観光名所「コロッセオ」はマスクの着用を義務付けている=AP

【ジュネーブ=細川倫太郎、パリ=白石透冴】高い失業率にあえぐ南欧諸国は、夏休みに向け観光産業の再開にカジを切り始めた。イタリアは3日から欧州連合(EU)加盟国などからの入国制限を撤廃した。新型コロナウイルスの感染防止策を徹底した上で、外国人客を受け入れる。感染の「第2波」のリスクもあり、観光の正常化には時間がかかりそうだ。

イタリアのディマイオ外相は、5月にドイツ紙のインタビューに答え、「ゲストの安全を確保し、笑顔で迎え入れる準備ができている」と強調した。新型コロナで甚大な被害を受けた同国は、3日から移動制限を全面的に撤廃した。伊国民の州をまたぐ移動を認め、EU加盟国や英国などから隔離措置なしに自由に入国できるようにする。

観光名所では感染防止策を徹底し、受け入れ準備を進めている。一足早く1日に約3カ月ぶりに営業を再開したローマの闘技場遺跡「コロッセオ」は、入場客にマスクの着用を義務付け、入り口では検温も実施する。チケットの購入はインターネットのみとする。

イタリアの観光関連産業は国内総生産(GDP)の約13%を占める。就業人口も347万人と全体の15%に達し、同国の経済を支える。3~5月の観光業界の損失額は100億ユーロ(約1兆2千億円)相当に上るとの試算もある。伊政府は自国民の国内観光を促すため、低所得世帯に対し、ホテルなどで使える500ユーロ分のバウチャー券の配布を決めた。

3月以降、国境を管理してきたスペインも7月1日、外国人客の隔離措置を廃止する。年間8千万人超が訪れる同国は、沿岸部が人気の観光地となっている。

政府は5月下旬、ビーチで日光浴をする人同士の距離などに関する指針の原案を作った。現地紙パイスによると、南部アンダルシアではビーチを開ける時間を1日4時間とすること、公衆シャワーの利用禁止などの制限を設けることを検討しているという。

世界一の観光客数を誇るフランスは2日から、大型の美術館や博物館の再開を認めた。ルーヴル美術館は7月6日から営業開始すると決めており、こうした人気施設の再開を通じた外国人客の呼び込みに期待する。パリ首都圏ではテラス席に限って飲食店の営業も認められている。一方、ドイツは3日、欧州29カ国への渡航警告を15日から解除することを決めた。

新型コロナの流行の第2波の懸念もあり、入国規制の緩和と感染防止策のバランスの取り方は容易ではない。15日から外国人を受け入れるギリシャは、安全と判断した国からの到着者に隔離措置を免除しながら、無作為でPCR検査を実施することもある。結果判明までは政府が用意するホテルにとどまることになる。対策が強すぎると受け止められれば、観光客の足が遠のきかねない。

イタリアやスペインは23万人以上の感染者が出ただけに、例年のように観光客が来るのは期待できないとの声もある。

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