津田大介も納得の味 低温調理器「BONIQ Pro」

ジャーナリストの津田大介氏が、興味のあるモノやサービスを取り上げる本連載。今回から2回にわたって、家の料理がグッと楽しくなる調理家電を取り上げる。津田氏が最初に注目したのは、低温調理器の「BONIQ Pro」。新型コロナウイルスに伴う緊急事態宣言中は、ほとんど家にいたと話す津田氏だが、調理家電を使ったおかげで自炊や家飲みが大いに楽しめたそうだ。
低温調理器で「史上最強に柔らかい蒸し鶏」にチャレンジ

前回「Nebula Capsule II」を紹介したときにも話した通り(記事「津田大介 モバイルプロジェクターで「巣ごもり快適」参照)、家にいる時間が増えてくると、いかに生活環境を快適にするかを考えていることが多い。外出できないときだからこそやってみたいと思っていたのが、最近遠ざかっていた料理だった。
意外かもしれないが、僕は時間があればわりと料理をする。以前にも、本連載でヘルシオホットクックを紹介したように(記事「津田大介も「初とんかつ成功」 使い手選ばぬ調理家電」参照)、調理家電には興味があったので、忙しくてできていなかった料理を再びやってみようと思ったわけだ。
そこで、最初に試してみたのが低温調理器の「BONIQ Pro(2万9800円)」。実は自宅にも簡易的な低温調理機能が付いた電気圧力鍋はあるが、どうせなら本格的な製品をつかって、じっくり料理をしてみたくなった。5~95度の範囲で温度設定ができる専用の低温調理器なら幅広い料理が作れる。ボトムキャップにはマグネットがついているので、磁石につく鍋であれば付属のホルダーがなくても自立する。
基本的には、BONIQ Proを自宅にある鍋などに入れて使えばよいわけだが、今回は別売の「BONIQ用深型ホーロー鍋(6480円)」と合わせて使ってみた。

今回作ってみたのは、BONIQの低温調理専門レシピサイトに掲載されていた「史上最強に柔らかい蒸し鶏」。鶏むね肉と一緒に白ネギの青い部分やショウガの皮、ゴマ油などをフリーザーバッグに入れて、60度で1時間30分調理する。下準備ができたら、鍋に入れて待つだけだ。給湯器で50度くらいのお湯を入れれば、数分で60度になる。比較をしてみるために、自宅にあった電気圧力鍋でも同じレシピで蒸し鶏を作ってみた(ただし、温度は最低でも70度にしか設定できないので、調理時間は異なる)。


スーパーのむね肉が柔らかくてジューシーな仕上がりに
そして完成したのが下の写真。結論から言うと「自宅でこの味が食べられるのか」と思うほど美味しかった。材料はスーパーで買った安い鶏のむね肉だが、かなり柔らかくてジューシーで味もよく染みている。



たしかに「史上最強に柔らかい」と名付けるだけはあり、人気がある製品なのもうなずける仕上がりだった。設定が違うことを差し引いても電気圧力鍋だと、同じように再現するのは難しいだろう。他にも豚もも肉や塩麹(しおこうじ)を使った「塩麹豚 ジェノベーゼソース」も作ってみたが、こちらもかなり美味しかった。


材料を用意してレシピ通りに作ればよいので難しいことも特になかった。逆に、調味料などを目分量で入れるのはお勧めしない。低温で長時間じっくり調理するため、想像以上に素材に味が染み込む。普段自炊をするときに比べると、入れた調味料はかなり少なかったが、しっかり味はついていた。最初は、説明通りに作って、慣れてきたらアレンジするとよいだろう。
手入れが簡単で料理のハードルが下がる
使い終わった後の手入れが簡単なのもうれしい。フリーザーバッグに入れて調理するので、基本的にはBONIQ Proや鍋が調味料などで汚れる心配はない。使い終わったら水を捨ててしまうだけだ。後片付けの手間がかからないだけで、料理のハードルはグッと下がる。
また、調理家電は何かと場所を取るものだが、製品サイズは、315mm(高さ)/53mm(幅)/103mm(奥行き)で、使わないときはキッチンの戸棚など、どこにでもしまえる。重量も1kgと軽いので、コロナが落ち着いて友人の家などへ遊びに行けるようになったときには持参することもできるだろう。電源があるキャンプサイトなどでも使えるし、幅広いシーンで利用できる。
ゆっくり時間をかけて自宅の料理をワンランクアップしたい人に

基本的に低温でじっくり仕上げる調理家電なので、どのレシピもそれなりに時間はかかるが、1台あれば休日の料理や家飲みのつまみがワンランク上がることは間違いない。
時間がかかるメニューもうまく準備をすることである程度効率的に活用できそうだ。例えば、レシピの中には、半日、丸一日、フリーザーバッグで漬け込んでから調理するメニューもある。予め作りたいレシピの計画を立てておいて、自炊などをするタイミングで一緒に下準備をしておけばよい。準備さえできれば後は入れておくだけなので、手は空けることができる。調理時間が8時間程度かかる料理なら休日にチャレンジしたり、タイマーで止まるので朝出かける前にセットして、夕飯で食べたりしてもよいだろう。
逆に言えば、短時間で何品も料理やつまみなどを作りたいといった人には向かないかもしれない。そんな人にも重宝すると思うのが、次回紹介するパナソニックの薫製調理器「けむらん亭」だ。こちらもとても美味しい料理が簡単にできて家飲みに合うので、ぜひ期待してご覧いただきたい。
ジャーナリスト/メディア・アクティビスト。「ポリタス」編集長。メディア、ジャーナリズム、IT・ネットサービス、コンテンツビジネス、著作権問題などを専門分野に執筆活動を行う。近著に「情報戦争を生き抜く」(朝日新書)。
(構成 藤原達矢=アバンギャルド)
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