米、デジタル税の対抗措置拡大 10カ国・地域を調査

2020/6/3 6:10 (2020/6/3 9:53更新)
保存
共有
印刷
その他

米国は制裁関税をちらつかせてデジタル税の撤回を迫る(写真はライトハイザーUSTR代表)=ロイター

米国は制裁関税をちらつかせてデジタル税の撤回を迫る(写真はライトハイザーUSTR代表)=ロイター

【ワシントン=鳳山太成】米通商代表部(USTR)は2日、IT(情報技術)企業に課税する「デジタルサービス税」を巡り、英国など10カ国・地域を調査すると発表した。不公正だと認定すれば制裁関税を含む対抗措置を検討する。昨年のフランスに続き対象を広げる。デジタル課税を巡る国際議論が長引くなか、独自のデジタル税導入に動く国をけん制する。

対象は英国のほか、イタリアとスペイン、チェコ、オーストリアと欧州連合(EU)、インド、インドネシア、ブラジル、トルコの10カ国・地域。外国の不公正な慣行に一方的措置を取る権限を与えた「通商法301条」に基づき調べる。

産業界などから7月15日まで意見を募る。各国のデジタル税が不当に米企業を差別していると認定すれば、追加関税を含む制裁措置の対象品目や実施日を決める。

対象国・地域は独自のデジタル税導入に動いている。USTRによるとインドは4月から国内に拠点を持たない企業にネット通販などの売上高から2%を徴収する制度を始めた。EUは新型コロナウイルスの復興資金を確保する一環で、ネット広告などの売り上げに3%を課す案を検討する。

米国はグーグルやアマゾン・ドット・コムなど巨大IT企業を抱える。ライトハイザーUSTR代表は各国のデジタル税について「米企業を不当に狙い撃ちしている」と声明で指摘し、制裁も辞さない姿勢を表した。

米政権は2019年12月、フランスのデジタル税が不当だとする調査結果をまとめ、ワインなどに制裁関税を課すと発表した。その後、仏が20年内は導入を凍結する代わりに米国が関税を棚上げすることで折り合った。

デジタル課税を巡る国際的な議論は経済協力開発機構(OECD)を中心に20年末の最終合意をめざしているが、足元では難航している。中核の20カ国・地域(G20)は2月に事務局案を承認したが、米国が「セーフ・ハーバー(適用除外)」と呼ぶ事実上の骨抜き案を持ち出し、11月の大統領選を前に慎重な姿勢を貫く。IT企業への国民の視線が厳しい欧州各国は独自課税をちらつかせて米国をけん制してきた。新型コロナによる財政悪化に苦しむ新興国は結論を待ち切れずに独自課税に動いている。

米産業界は各国のデジタル税に反対するが、米国が制裁関税を発動して貿易摩擦に発展する恐れを懸念している。全米商工会議所は2日の声明で「一方的で差別的なデジタル税の導入を避けるため多国間交渉で対処してほしい」と呼びかけた。

保存
共有
印刷
その他

電子版トップ



[PR]