トランプ氏、軍投入辞さず 「暴動はテロ」州兵増員迫る

2020/6/2 8:20 (2020/6/2 12:28更新)
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【ワシントン=中村亮】トランプ米大統領は1日、ホワイトハウスで全米向けに演説し、白人警官の暴行による黒人死亡事件をきっかけに全米で起きる暴動の鎮圧に向け「各州知事に街頭を占拠するのに必要な数だけ州兵を出動させるよう求めた」と明らかにした。州兵の投入が不十分と判断すれば大統領の指揮下にある連邦軍を派遣する考えを示した。一段と強硬な姿勢を示せば、デモ参加者らがかえって反発し、事態の収拾が見通せなくなる可能性はある。

演説は約6分間。トランプ氏は「私は法と秩序を尊重する大統領だ」と主張した。「米国はプロの無政府主義者や暴力集団、略奪者らに支配されている」と語り、各州の知事によるデモへの対処は弱腰だと批判した。暴徒化した一部のデモ参加者を「国内テロ活動だ」と糾弾し、徹底的に取り締まる考えを示した。

ニューヨーク州のクオモ知事はトランプ氏の演説を「恥ずべきこと」とツイッターで非難した。

トランプ氏は演説に先立ち、全米の州知事とテレビ会議に臨んだ。複数の米メディアによるとトランプ氏は「抗議デモを制圧せよ」と繰り返し強調した。「そうしないとあなたがたはひどい愚か者になる。(暴徒化した抗議者を)逮捕し、裁判にかけ、長期にわたり刑務所で拘束すべきだ」と主張した。「石を投げた者は銃を発砲した者と同じ。そうした人に報復すべきだ」とも指摘した。

首都ワシントンでは5月31日に続き、米東部時間1日午後7時(日本時間2日午前8時)に外出禁止令が発効。ニューヨーク市も午後11時から外出を禁止。米メディアによると、抗議デモはこれまでに少なくとも140都市に広がり、一部のデモ隊が暴徒化して店舗の略奪も起きている。

米国防総省によると、1日午前時点で州知事の監督下にある1万7000人以上の州兵(ナショナルガード)が23州と首都ワシントンで動員された。動員規模は前日に比べて3.4倍に増えたが、トランプ氏はさらに増やすよう求めた形だ。

議会調査局によると、連邦政府の指揮下にある連邦軍は原則として国内の治安維持活動をできないが、暴動法は公民権擁護などを目的とした派遣を例外的に認めている。トランプ氏は州政府の対応が手ぬるいと判断すればこの法律を使って軍を派遣する構えだ。この法律が適用されれば1992年に白人警官による黒人暴行などをきっかけに起きたロサンゼルス暴動に対処して以来だ。

ワシントンではトランプ氏の演説直前、警官隊らがホワイトハウス前で活動していたデモ隊に対して催涙弾を相次いで発射。一帯の道路を一気に制圧した。トランプ氏は演説を終えるとホワイトハウスから徒歩で近くの教会を訪れた。記者団に対し、聖書を片手に「安全を守る」と語った。危機下での教会訪問は支持基盤の保守派の求心力を保つ狙いがありそうだ。

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